ー当日ー
「本当に歩きで良かったのですか?」
お屋敷から出てしばらくして聞いてみた。
「うん、陽が見ているもの、感じているものを
ゆっくり知りたいから」
家まで俺の足で15分ほど。
お嬢様に合わせたらもう少しかかるだろう。
「あそこの家の花壇、綺麗だね」
「2階の窓に猫がいるよ、
かわいいな」
目を輝かせて伝えるお嬢様が可愛くて
時間がかかるとかどうでもよくなった。
一緒に歩けばあっという間に家に着いた。
「ここが俺の家です」
「なんか、緊張してきちゃった」
「毎年会っているじゃないですか。
緊張することなんてありませんよ。
みんな歓迎していますから」
若干立て付けの悪い引き戸を開ける。
ガタガタと大きな音が合図みたいに奥から母が
出迎える。
「おかえり陽くん、いらっしゃい渚ちゃん」
「ただいま母さん」
「おじゃまします」
ニコニコとした母にリビングに通されて、
奥のキッチンに消えた。
「おかえり、陽。
お待ちしておりました、お嬢様」
「じいや、久しぶりだね」
「また大きくなられましたね」
「去年と変わらないと思うけど」
母と入れ替わりで入ってきた祖父。
「どうですか?陽はなにか粗相をしていませんか?」
「そんなに心配しなくて大丈夫だよ、じいや」
キッチンから戻ってきた母と共にお茶をしていると
父が帰ってきた。
「・・・いらっしゃい」
びっくりしたのか少し間が空いた挨拶。
「おじゃましてます」
キッチンに行って袋を持って戻ってきた。
「食べられるか?」
コンビニで売っているカップスイーツ。
「はい、いただきます」
それを渡してテーブルにも3つ置いていく。
「なにが好きかわからないから」
「私のこと考えてくれたんですよね。
ありがとうございます」
わずかに笑ったような気がする。
スイーツにはしゃぐお嬢様を嬉しそうに見ている。
(あんな顔久しぶりに見た)
「ねぇ、渚ちゃん」
「はい」
「渚ちゃん、ウチに来ない?」
「はい?」
「お嫁さんに来ない?
陽くん、とてもいい子だし」
「え、」
危うく飲み物を吹き出しかけたがお嬢様の手前、
頑張って飲み込み思い切りむせる。
「大丈夫、陽?」
「陽くん、大丈夫?あ、お婿さんって手も」
「母さん!」
母が渡してくれたティッシュで口を拭いて母を咎める
が、その横で父が僅かにうなづいた。
「いや、なんで父さんも乗り気なの!?
俺とお嬢様はそんな間柄じゃないし、
たとえそうだとしても親が催促していい
話題じゃないでしょ」
「え〜、残念ねぇ」
隣で父もしょんぼりしているように見える。
ちらっと祖父を見る。
(あれ絶対「大事なお嬢様だ。どんな相手でも
簡単に許すと思うなよ」って言ってる)
笑っているけど背後に般若が見え身震い。
その後は楽しく話し合った。
俺の屋敷での生活のこと、学校生活、
お嬢様自身のことなどたくさん話した。
俺が屋敷に行くまでの話を暴露された。
「あんなに小さかったお嬢様がこんなに
大きくなって。私が歳を取るのも当たり前ですね」
祖父とお嬢様の思い出話に花がさく。
「お嬢様、これだけは約束してくださいますか?」
「なに?」
「結婚相手はわたしにも紹介してくださいね。
小さい頃を知っている祖父みたいなものですから」
「わかった。私の選んだ人だからじいやも
喜んでくれるよ、きっと」
「本当に歩きで良かったのですか?」
お屋敷から出てしばらくして聞いてみた。
「うん、陽が見ているもの、感じているものを
ゆっくり知りたいから」
家まで俺の足で15分ほど。
お嬢様に合わせたらもう少しかかるだろう。
「あそこの家の花壇、綺麗だね」
「2階の窓に猫がいるよ、
かわいいな」
目を輝かせて伝えるお嬢様が可愛くて
時間がかかるとかどうでもよくなった。
一緒に歩けばあっという間に家に着いた。
「ここが俺の家です」
「なんか、緊張してきちゃった」
「毎年会っているじゃないですか。
緊張することなんてありませんよ。
みんな歓迎していますから」
若干立て付けの悪い引き戸を開ける。
ガタガタと大きな音が合図みたいに奥から母が
出迎える。
「おかえり陽くん、いらっしゃい渚ちゃん」
「ただいま母さん」
「おじゃまします」
ニコニコとした母にリビングに通されて、
奥のキッチンに消えた。
「おかえり、陽。
お待ちしておりました、お嬢様」
「じいや、久しぶりだね」
「また大きくなられましたね」
「去年と変わらないと思うけど」
母と入れ替わりで入ってきた祖父。
「どうですか?陽はなにか粗相をしていませんか?」
「そんなに心配しなくて大丈夫だよ、じいや」
キッチンから戻ってきた母と共にお茶をしていると
父が帰ってきた。
「・・・いらっしゃい」
びっくりしたのか少し間が空いた挨拶。
「おじゃましてます」
キッチンに行って袋を持って戻ってきた。
「食べられるか?」
コンビニで売っているカップスイーツ。
「はい、いただきます」
それを渡してテーブルにも3つ置いていく。
「なにが好きかわからないから」
「私のこと考えてくれたんですよね。
ありがとうございます」
わずかに笑ったような気がする。
スイーツにはしゃぐお嬢様を嬉しそうに見ている。
(あんな顔久しぶりに見た)
「ねぇ、渚ちゃん」
「はい」
「渚ちゃん、ウチに来ない?」
「はい?」
「お嫁さんに来ない?
陽くん、とてもいい子だし」
「え、」
危うく飲み物を吹き出しかけたがお嬢様の手前、
頑張って飲み込み思い切りむせる。
「大丈夫、陽?」
「陽くん、大丈夫?あ、お婿さんって手も」
「母さん!」
母が渡してくれたティッシュで口を拭いて母を咎める
が、その横で父が僅かにうなづいた。
「いや、なんで父さんも乗り気なの!?
俺とお嬢様はそんな間柄じゃないし、
たとえそうだとしても親が催促していい
話題じゃないでしょ」
「え〜、残念ねぇ」
隣で父もしょんぼりしているように見える。
ちらっと祖父を見る。
(あれ絶対「大事なお嬢様だ。どんな相手でも
簡単に許すと思うなよ」って言ってる)
笑っているけど背後に般若が見え身震い。
その後は楽しく話し合った。
俺の屋敷での生活のこと、学校生活、
お嬢様自身のことなどたくさん話した。
俺が屋敷に行くまでの話を暴露された。
「あんなに小さかったお嬢様がこんなに
大きくなって。私が歳を取るのも当たり前ですね」
祖父とお嬢様の思い出話に花がさく。
「お嬢様、これだけは約束してくださいますか?」
「なに?」
「結婚相手はわたしにも紹介してくださいね。
小さい頃を知っている祖父みたいなものですから」
「わかった。私の選んだ人だからじいやも
喜んでくれるよ、きっと」


