ー第一印象は最悪だったー
4月にしては少し肌寒いある日。
「執事に興味ないかい?」
その一言がはじまりだった。
住み込みで働いていて久しぶりに帰ってきた
じいちゃんは唐突に提案してきた。
執事、主人の身の回りのお世話をする人らしい。
俺より年上の女の子に仕えるらしい。
「しつじ、やってみたい」
内容を聞いてもピンとこず好奇心だった。
「大丈夫ですか?お義父さん。」
「そうだよ、親父。少し早くないか?」
母さんと父さんが心配していたけど
1年は一緒にやる、その後は定期的に見に行くことを
提案するとしぶしぶ了承。
1週間、執事として最低限の礼儀を身につける。
俺はお祖父様と共にお嬢様の元へ。
旦那様にはもう話をしていて承諾を得ているとの事。
「お嬢様、孫を連れてきました」
しばらくしてガチャッと扉が開く。
俺より身長が高いその主は機嫌が悪いのか眉間に皺
がよっている。
(俺、この人に仕えるの?)
「お嬢様、孫の陽です。」
「お初にお目にかかります、源 渚様。
ご紹介に預かりました暁 陽と申します。
不束ものですがよろしくお願いします」
教えられた言葉で自己紹介。
しばらく見下ろしていたがフイッと顔を背けて
扉を閉めた。
突っ立っているわけにもいかず階段の踊り場に移動。
「・・・なんなの、あの人!
目上だからってあんなことしていいって
思ってんの!?」
「まぁまぁ、どんな理由でも新しい執事がくるって
なったら誰だって不安になるよ」
宥められるが納得できない。
「それに専属執事って言われたら、ね」
お祖父様は後ろめたさがあるようで呟いた。
「彰(あきら)様の命で自分と一緒にいたって
思われても仕方ないよ」
「彰様?」
「私はお嬢様のお祖父様の専属執事だからね。
実際、命ではあったけど私はお嬢様をもう1人の
孫のように大切にしてきた。」
見上げた横顔は誇らしげにも寂しそうに見えた。
それからお祖父様と共に仕事をして、
体術を教わる。
お嬢様が退屈な時は一方的に言葉を投げた。
お嬢様の事も知りたいし自分の事も知って欲しい。
「おじょーさまの好きなことはなんですか?」
「俺、季節で夏が1番好きです」
最初は無視だったが、だんだん興味を示してくれて
相槌を打ってくれた。
たくさん話してお互いを知って一緒に出掛けた。
無表情だったのが笑顔に変わっていく。
お嬢様とお祖父様が一緒にいる時間は少なくなって、その分俺がお嬢様との時間が増えた。
でもそれは別れが近づいていることでもあった。
4月にしては少し肌寒いある日。
「執事に興味ないかい?」
その一言がはじまりだった。
住み込みで働いていて久しぶりに帰ってきた
じいちゃんは唐突に提案してきた。
執事、主人の身の回りのお世話をする人らしい。
俺より年上の女の子に仕えるらしい。
「しつじ、やってみたい」
内容を聞いてもピンとこず好奇心だった。
「大丈夫ですか?お義父さん。」
「そうだよ、親父。少し早くないか?」
母さんと父さんが心配していたけど
1年は一緒にやる、その後は定期的に見に行くことを
提案するとしぶしぶ了承。
1週間、執事として最低限の礼儀を身につける。
俺はお祖父様と共にお嬢様の元へ。
旦那様にはもう話をしていて承諾を得ているとの事。
「お嬢様、孫を連れてきました」
しばらくしてガチャッと扉が開く。
俺より身長が高いその主は機嫌が悪いのか眉間に皺
がよっている。
(俺、この人に仕えるの?)
「お嬢様、孫の陽です。」
「お初にお目にかかります、源 渚様。
ご紹介に預かりました暁 陽と申します。
不束ものですがよろしくお願いします」
教えられた言葉で自己紹介。
しばらく見下ろしていたがフイッと顔を背けて
扉を閉めた。
突っ立っているわけにもいかず階段の踊り場に移動。
「・・・なんなの、あの人!
目上だからってあんなことしていいって
思ってんの!?」
「まぁまぁ、どんな理由でも新しい執事がくるって
なったら誰だって不安になるよ」
宥められるが納得できない。
「それに専属執事って言われたら、ね」
お祖父様は後ろめたさがあるようで呟いた。
「彰(あきら)様の命で自分と一緒にいたって
思われても仕方ないよ」
「彰様?」
「私はお嬢様のお祖父様の専属執事だからね。
実際、命ではあったけど私はお嬢様をもう1人の
孫のように大切にしてきた。」
見上げた横顔は誇らしげにも寂しそうに見えた。
それからお祖父様と共に仕事をして、
体術を教わる。
お嬢様が退屈な時は一方的に言葉を投げた。
お嬢様の事も知りたいし自分の事も知って欲しい。
「おじょーさまの好きなことはなんですか?」
「俺、季節で夏が1番好きです」
最初は無視だったが、だんだん興味を示してくれて
相槌を打ってくれた。
たくさん話してお互いを知って一緒に出掛けた。
無表情だったのが笑顔に変わっていく。
お嬢様とお祖父様が一緒にいる時間は少なくなって、その分俺がお嬢様との時間が増えた。
でもそれは別れが近づいていることでもあった。


