とても冗談を言ってるようには聞こえない声と
真面目な顔。
「・・・本当に、薫、なの?」
頷いて語り出した。
6歳の時、薫は私の誕生日パーティーに
招待されてそこであの言葉を告げた。
「着飾った渚さんは誰よりもキラキラしてて、
可愛くて一目惚れした。とても軽い気持ちで
言っちゃったんだ
物事を深く考えられるようになってから
気づいたんだ。とんでもないことを言ったこと。
あの時、一緒にいた使用人に聞いて渚さんだって
知った。
何年経っても待っているかもしれない。
この先、交際を申し込まれても俺のせいで
断るんじゃないかって。
俺の言葉が呪いになっていたら、俺だけが違う人と
幸せになるって考えると怖くなった。
あなたが忘れてくれていたらって最低なことを
願った。
僕の考えすぎだったとしてもちゃんと会って
話したかった。自己満足だっていうのもわかってる。謝りたかった、あの時のこと。
ごめん、渚さん」
目を見て謝罪した薫は深く頭を下げる。
「顔を上げて。
伝えてくれてありがとう、薫。
ずっと心残りだったから安心した」
深く息を吐いて顔を上げた。
「ごめんなさい、私好きな人がいるから
約束を守ることはできない」
「わかってるよ、約束を気にしていても
気持ちは止めることはできないから」
ベットから降りて薫は私の手を取る。
「これからも執事としてあなたを支えたい」
「頼りにしてるよ」
薫は照れた顔を誤魔化すように笑って指先にキスを
する。
「これは執事として言いますけど」
さっきの顔が嘘のように薫はジト目で見る。
「おじょー様のやりたいことは応援します。
出来る限りサポートもします。
ですが、この状況は感心できません」
「え?」
「推薦されたからと言ってカップルダンス
コンテストは出場を断固拒否すべきだったと僕は
思っています。条件はカップル、なら賞品もカップル向けのもの、
流石に宿泊券だとは思いもしませんでしたけど。
おじょー様、この場にいるのが僕だからいいものの、他の男だったらなにがあるかわかりませんよ」
「そんなこと、薫ったら考えすぎだよ。
そもそも優勝できるか・・・ごめんなさい、
気をつけます」
無言の圧力に謝る。
「なんか陽に似てきたね」
「それは、喜んでいいんでしょうか」
(すごく複雑そう)
満足したように頷いて薫は自分の荷物からトランプを
取り出す。
「一回だけやりませんか?」
慣れた手つきでカードを切る。
「でも、そんな御令息が執事なんてよく周りが
許したね。」
「僕、妹がいるんです。
僕より優秀で自分から後を継ぎたいと
頑張っています。
父も将来は妹に継がせると言っているから
俺は好きにさせてもらえてるんです。」
ゲームを終えておじょー様はすぐに眠ってしまった。
(わかってたけどきついな)
気持ちは変わる。それはわかってる。
でもほんの少し期待した。
僕を思い続けているんじゃないかっって。
10年ぶりの再会を喜んで渚さんと約束通り結婚前提のお付き合いを始められるんじゃないかって。
転校をした、仲のいい友達はたくさんいた。
執事になった、上下関係ができた。
それでも隣にいたかった。初恋の人だから。
渚さんと陽。すぐに気づいた。
言わずもがな相思相愛の2人。俺の入る隙はない。
それでも10年分積もった気持ちを綺麗さっぱり無くすことを簡単にはできない。
「大好きだったよ」
初恋の人。
真面目な顔。
「・・・本当に、薫、なの?」
頷いて語り出した。
6歳の時、薫は私の誕生日パーティーに
招待されてそこであの言葉を告げた。
「着飾った渚さんは誰よりもキラキラしてて、
可愛くて一目惚れした。とても軽い気持ちで
言っちゃったんだ
物事を深く考えられるようになってから
気づいたんだ。とんでもないことを言ったこと。
あの時、一緒にいた使用人に聞いて渚さんだって
知った。
何年経っても待っているかもしれない。
この先、交際を申し込まれても俺のせいで
断るんじゃないかって。
俺の言葉が呪いになっていたら、俺だけが違う人と
幸せになるって考えると怖くなった。
あなたが忘れてくれていたらって最低なことを
願った。
僕の考えすぎだったとしてもちゃんと会って
話したかった。自己満足だっていうのもわかってる。謝りたかった、あの時のこと。
ごめん、渚さん」
目を見て謝罪した薫は深く頭を下げる。
「顔を上げて。
伝えてくれてありがとう、薫。
ずっと心残りだったから安心した」
深く息を吐いて顔を上げた。
「ごめんなさい、私好きな人がいるから
約束を守ることはできない」
「わかってるよ、約束を気にしていても
気持ちは止めることはできないから」
ベットから降りて薫は私の手を取る。
「これからも執事としてあなたを支えたい」
「頼りにしてるよ」
薫は照れた顔を誤魔化すように笑って指先にキスを
する。
「これは執事として言いますけど」
さっきの顔が嘘のように薫はジト目で見る。
「おじょー様のやりたいことは応援します。
出来る限りサポートもします。
ですが、この状況は感心できません」
「え?」
「推薦されたからと言ってカップルダンス
コンテストは出場を断固拒否すべきだったと僕は
思っています。条件はカップル、なら賞品もカップル向けのもの、
流石に宿泊券だとは思いもしませんでしたけど。
おじょー様、この場にいるのが僕だからいいものの、他の男だったらなにがあるかわかりませんよ」
「そんなこと、薫ったら考えすぎだよ。
そもそも優勝できるか・・・ごめんなさい、
気をつけます」
無言の圧力に謝る。
「なんか陽に似てきたね」
「それは、喜んでいいんでしょうか」
(すごく複雑そう)
満足したように頷いて薫は自分の荷物からトランプを
取り出す。
「一回だけやりませんか?」
慣れた手つきでカードを切る。
「でも、そんな御令息が執事なんてよく周りが
許したね。」
「僕、妹がいるんです。
僕より優秀で自分から後を継ぎたいと
頑張っています。
父も将来は妹に継がせると言っているから
俺は好きにさせてもらえてるんです。」
ゲームを終えておじょー様はすぐに眠ってしまった。
(わかってたけどきついな)
気持ちは変わる。それはわかってる。
でもほんの少し期待した。
僕を思い続けているんじゃないかっって。
10年ぶりの再会を喜んで渚さんと約束通り結婚前提のお付き合いを始められるんじゃないかって。
転校をした、仲のいい友達はたくさんいた。
執事になった、上下関係ができた。
それでも隣にいたかった。初恋の人だから。
渚さんと陽。すぐに気づいた。
言わずもがな相思相愛の2人。俺の入る隙はない。
それでも10年分積もった気持ちを綺麗さっぱり無くすことを簡単にはできない。
「大好きだったよ」
初恋の人。


