薫の食べる顔が本当に美味しそうでそう呟いていた。
「渚さん?」
「あ、いや、薫が食べてるやつ美味しそうだから食べ終わったら同じやつ取りに行こうかなって」
すると薫は何を思ったのかケーキの口つけてない部分を切って刺したフォークを口に近づける。
「それはなに?」
「チーズケーキ」
「いや、そういうことじゃなくて」
「はい、あーん」
「なんか、楽しんでない?」
「クラスメイトで友達ならこういうことも
するでしょ?」
(さっき自分で言ったことがこんなことになるなんて)
「はやく〜、落ちちゃうよ」
にやっと笑う薫。少しずつ傾いていくケーキ、
「わかったよ」
ケーキを食べる。
「おいしい」
「でしょ〜、おいしいものは共有したいんだ」
私だけがもらうのも気が引けて、
ムースケーキを掬って向ける
「なに?」
「美味しいものは共有したい、でしょ?」
自分で始めたくせに顔を真っ赤にした。
「照れてるの?」
ニヤニヤしてると諦めて身を乗り出して手を掴んで
食べた。
「手、掴む意味ある?」
「微調整だよ」
「美味しい?」
それには頷いた。
そういえば
「薫って間接キスとか気にするタイプ?」
コーヒーを飲んでいたけど思いっきりむせた。
「ごめん、今言うことじゃなかったね」
「渚さんは気にならないの?」
「あんまり気にしたことないな」
「陽でも?」
「もちろん、あるわけないよ」
内心ドキリとしたけど自分に言い聞かせた。
バイキングの後は観光をして夕食、入浴と
後は寝るだけになった。
「ねぇ、薫」
「なに?」
「前に待ってるって言ったけど、まだ時間欲しい?」
ベットに座り向かい合い。
「わかった、早いうちに言わないといけないこと
だったし。ずっと黙っててごめん。
僕がここに来た経緯。あれ、嘘なんだ」
「バイトってやつ?」
「うん、本当は俺、ゲーム会社の息子なんだ
なんだ」
「ゲーム会社、薫が。月島・・・あ!あの大手の
ところ!?」
躊躇ったように少し間が空いて頷いた。
倒産とか買収とか聞きたかったけど絶対に話の腰を
折ることになるから耐えた。
「そっか、そうなんだ。教えてくれる?色々」
できるだけ優しく、圧をかけないようゆっくり話す。
「うん、バイトで来たって言ったでしょ?
本当は労働が目的じゃない。
電柱に、面白いものっていうのも嘘。
本当は旦那様に頼んだんだ。
働かせてくださいって。あ、学費も嘘だからね。
ちゃんと僕の家の方で出してるから」
「最後は別に気にしてないけど、お父様に頼んだってどうして?」
少し考えて口を開いた。
「渚さんはさ、小さい頃のことで
何を約束したとか覚えてる?」
薫は真剣な眼差しを向ける。
初めて見る顔。
普段とのギャップに少し怖くなる。
「そんな顔するんだね」
「あ、ごめん。本当にただの質問なんだ。
気楽に答えてよ」
すぐにいつものように笑う。
「約束・・・。あ、約束ってわけじゃないけど
大人になったら結婚してくれる?て言われたこと
あった気がする」
「なんて答えたの?」
「覚えてないんだよね。そもそもそれすら
本当なのか曖昧だし」
「そうなんだ。・・・今はどう思ってるの?
その相手のこととか」
やけに聞きたがる薫にもしかして、と思ったけど
単にそういう話題に興味があるだけかもしれない。
「小さい頃の口約束なんて相手も忘れてるでしょ。
私も本気にしてないし。
でも、僅かでも覚えてるってことは心残りに
なってるのかな〜なんて」
受け流そうとしたら、薫と目が合う。
「忘れてないって言ったらどうする?」
「渚さん?」
「あ、いや、薫が食べてるやつ美味しそうだから食べ終わったら同じやつ取りに行こうかなって」
すると薫は何を思ったのかケーキの口つけてない部分を切って刺したフォークを口に近づける。
「それはなに?」
「チーズケーキ」
「いや、そういうことじゃなくて」
「はい、あーん」
「なんか、楽しんでない?」
「クラスメイトで友達ならこういうことも
するでしょ?」
(さっき自分で言ったことがこんなことになるなんて)
「はやく〜、落ちちゃうよ」
にやっと笑う薫。少しずつ傾いていくケーキ、
「わかったよ」
ケーキを食べる。
「おいしい」
「でしょ〜、おいしいものは共有したいんだ」
私だけがもらうのも気が引けて、
ムースケーキを掬って向ける
「なに?」
「美味しいものは共有したい、でしょ?」
自分で始めたくせに顔を真っ赤にした。
「照れてるの?」
ニヤニヤしてると諦めて身を乗り出して手を掴んで
食べた。
「手、掴む意味ある?」
「微調整だよ」
「美味しい?」
それには頷いた。
そういえば
「薫って間接キスとか気にするタイプ?」
コーヒーを飲んでいたけど思いっきりむせた。
「ごめん、今言うことじゃなかったね」
「渚さんは気にならないの?」
「あんまり気にしたことないな」
「陽でも?」
「もちろん、あるわけないよ」
内心ドキリとしたけど自分に言い聞かせた。
バイキングの後は観光をして夕食、入浴と
後は寝るだけになった。
「ねぇ、薫」
「なに?」
「前に待ってるって言ったけど、まだ時間欲しい?」
ベットに座り向かい合い。
「わかった、早いうちに言わないといけないこと
だったし。ずっと黙っててごめん。
僕がここに来た経緯。あれ、嘘なんだ」
「バイトってやつ?」
「うん、本当は俺、ゲーム会社の息子なんだ
なんだ」
「ゲーム会社、薫が。月島・・・あ!あの大手の
ところ!?」
躊躇ったように少し間が空いて頷いた。
倒産とか買収とか聞きたかったけど絶対に話の腰を
折ることになるから耐えた。
「そっか、そうなんだ。教えてくれる?色々」
できるだけ優しく、圧をかけないようゆっくり話す。
「うん、バイトで来たって言ったでしょ?
本当は労働が目的じゃない。
電柱に、面白いものっていうのも嘘。
本当は旦那様に頼んだんだ。
働かせてくださいって。あ、学費も嘘だからね。
ちゃんと僕の家の方で出してるから」
「最後は別に気にしてないけど、お父様に頼んだってどうして?」
少し考えて口を開いた。
「渚さんはさ、小さい頃のことで
何を約束したとか覚えてる?」
薫は真剣な眼差しを向ける。
初めて見る顔。
普段とのギャップに少し怖くなる。
「そんな顔するんだね」
「あ、ごめん。本当にただの質問なんだ。
気楽に答えてよ」
すぐにいつものように笑う。
「約束・・・。あ、約束ってわけじゃないけど
大人になったら結婚してくれる?て言われたこと
あった気がする」
「なんて答えたの?」
「覚えてないんだよね。そもそもそれすら
本当なのか曖昧だし」
「そうなんだ。・・・今はどう思ってるの?
その相手のこととか」
やけに聞きたがる薫にもしかして、と思ったけど
単にそういう話題に興味があるだけかもしれない。
「小さい頃の口約束なんて相手も忘れてるでしょ。
私も本気にしてないし。
でも、僅かでも覚えてるってことは心残りに
なってるのかな〜なんて」
受け流そうとしたら、薫と目が合う。
「忘れてないって言ったらどうする?」


