完全にワルツから遠のいている。
(薫はこのまま自分のペースにもって
いきたいんだろうな)
でも、こっちには経験がある。
招かれたパーティーで踊ることは多々あった。
だったらこっちも好きにさせてもらおう。
グイッと方向を変える。
薫と視線が交わる。
したり顔の私に目を細める薫に驚いたが
好きにさせてもらう。
曲も終盤、ターンを決めてフィニッシュ。
のはずだった。
足を捻って転ぶと思った、瞬間
強く手を掴んでフワッと抱き上げられた。
そのまま、グルッと回って曲は終わる。
「ありがとう、薫」
「お嬢様に恥は欠かせられませんから」
私を下ろして見つめ合う。
客席からの拍手。
見下ろす薫の額にも汗か滲む。
頬の高揚、高鳴る鼓動はおさまらない。
「すごく、すごく楽しかった!」
「僕もですよ」
満面の笑みで返してくれた。でも瞳が揺らいで
悲しそうな顔をした。
戸惑っていると
「か、薫?」
薫の腕の中にいた。
観客からの黄色い声。
普通だったら胸が高鳴り恥ずかしくてドキドキは
するけど
震えている手、さっきの表情で
恥ずかしさより心配が勝る。
「どうしたの?」
「約束なんかして、ごめん」
頭から聞こえる声もやっぱり震えている。
離れたらまたニコ〜と笑う。
「次が待ってる」
客席に向けてお辞儀をしてステージを降りた。
体育館から出て、教室に向かう途中。
「ねぇ、薫。さっきのなに?」
「・・・約束なんかしてごめんって言った」
「うん、それはわかってる。ちゃんと聞こえてたよ。
約束ってなに?」
「ごめん、今はまだ言えない」
それだけ言って俯いた。
「わかった」
聞きたいことはたくさんある。
話してくれるまで待とう。
私にはそうするしかできない。
クレープ販売もトラブルなく終わった。
ホームルームで優勝は私たちと伝えられ商品は、
高級ホテルの宿泊チケット。
みんな羨ましがっているけど素直に喜べなかった。
「源さん、僕と行ってくれる?」
「別にいいけど」
周りは、はやしたてるけど私はそれどころ
じゃなかった。
「はぁー、疲れた」
カバンを椅子に置いてベットに倒れる。
「お疲れ様でした〜。夕食の時間までゆっくり
休んでください」
「うん」
パタンとドアが閉まる。
帰り道では何も言わなかったくせにさっきは
いつも通り、ゆっくりとした話し方。
薫が何を考えているのかわからない。
「考えたって仕方ない。少しの間寝よう」
誰かに肩を叩かれる。
「おやすみのところ申し訳ございません。
お夕食の準備が整いますがいかがいたしましょうか」
「・・・食べる」
「かしこまりました、司さんに伝えてきますね」
陽が行ったことを見送って小さなあくびを一つ。
5分ほどして、再び陽に呼ばれて夕食。
入浴をしてゲームをする薫を待っていても今夜は
来ない。
(さすがに今日はないかな。薫も疲れてるだろうし。
まぁ顔を合わせずらないのかもしれないけど)
「お嬢様、少しよろしいですか?」
ノックと聞こえたのは陽の声。
「どうぞ」
「どうしたの?」
「今日、文化祭でしたよね?
少し気になってしまって」
「クラスでクレープ販売したんだ。
各班に分かれて生地を焼いたり、トッピングしたり
楽しかったよ」
「それだけですか?」
「そう、だけど」
陽は無表情で近づいてくる。
(なんか怒ってる?)
「カップルダンスコンテスト」
(薫はこのまま自分のペースにもって
いきたいんだろうな)
でも、こっちには経験がある。
招かれたパーティーで踊ることは多々あった。
だったらこっちも好きにさせてもらおう。
グイッと方向を変える。
薫と視線が交わる。
したり顔の私に目を細める薫に驚いたが
好きにさせてもらう。
曲も終盤、ターンを決めてフィニッシュ。
のはずだった。
足を捻って転ぶと思った、瞬間
強く手を掴んでフワッと抱き上げられた。
そのまま、グルッと回って曲は終わる。
「ありがとう、薫」
「お嬢様に恥は欠かせられませんから」
私を下ろして見つめ合う。
客席からの拍手。
見下ろす薫の額にも汗か滲む。
頬の高揚、高鳴る鼓動はおさまらない。
「すごく、すごく楽しかった!」
「僕もですよ」
満面の笑みで返してくれた。でも瞳が揺らいで
悲しそうな顔をした。
戸惑っていると
「か、薫?」
薫の腕の中にいた。
観客からの黄色い声。
普通だったら胸が高鳴り恥ずかしくてドキドキは
するけど
震えている手、さっきの表情で
恥ずかしさより心配が勝る。
「どうしたの?」
「約束なんかして、ごめん」
頭から聞こえる声もやっぱり震えている。
離れたらまたニコ〜と笑う。
「次が待ってる」
客席に向けてお辞儀をしてステージを降りた。
体育館から出て、教室に向かう途中。
「ねぇ、薫。さっきのなに?」
「・・・約束なんかしてごめんって言った」
「うん、それはわかってる。ちゃんと聞こえてたよ。
約束ってなに?」
「ごめん、今はまだ言えない」
それだけ言って俯いた。
「わかった」
聞きたいことはたくさんある。
話してくれるまで待とう。
私にはそうするしかできない。
クレープ販売もトラブルなく終わった。
ホームルームで優勝は私たちと伝えられ商品は、
高級ホテルの宿泊チケット。
みんな羨ましがっているけど素直に喜べなかった。
「源さん、僕と行ってくれる?」
「別にいいけど」
周りは、はやしたてるけど私はそれどころ
じゃなかった。
「はぁー、疲れた」
カバンを椅子に置いてベットに倒れる。
「お疲れ様でした〜。夕食の時間までゆっくり
休んでください」
「うん」
パタンとドアが閉まる。
帰り道では何も言わなかったくせにさっきは
いつも通り、ゆっくりとした話し方。
薫が何を考えているのかわからない。
「考えたって仕方ない。少しの間寝よう」
誰かに肩を叩かれる。
「おやすみのところ申し訳ございません。
お夕食の準備が整いますがいかがいたしましょうか」
「・・・食べる」
「かしこまりました、司さんに伝えてきますね」
陽が行ったことを見送って小さなあくびを一つ。
5分ほどして、再び陽に呼ばれて夕食。
入浴をしてゲームをする薫を待っていても今夜は
来ない。
(さすがに今日はないかな。薫も疲れてるだろうし。
まぁ顔を合わせずらないのかもしれないけど)
「お嬢様、少しよろしいですか?」
ノックと聞こえたのは陽の声。
「どうぞ」
「どうしたの?」
「今日、文化祭でしたよね?
少し気になってしまって」
「クラスでクレープ販売したんだ。
各班に分かれて生地を焼いたり、トッピングしたり
楽しかったよ」
「それだけですか?」
「そう、だけど」
陽は無表情で近づいてくる。
(なんか怒ってる?)
「カップルダンスコンテスト」


