9月、新学期が始まり夏休みはどこに行った、なにをした、そんな話題に始まり運動会、文化祭に話は流れる。みんなはしゃいでいる中、俺はこれからおこる
戦いに覚悟を決めていた。
9月12日はお嬢様の誕生日。
誕生日にはささやかな社交パーティーが
毎年開かれる。
招待状の配付、会場の設営、当日の料理や流れを
行う。
そして「誕生日プレゼント」
毎年、お嬢様の誕生日の時、
旦那様はたくさんのプレゼントと共に帰ってくる。
プレゼントは服、インテリア用品、珍しいお菓子など
あげたらキリがない。
服はクローゼットに眠ったままになっているのも多々。
使用人一同、誰のプレゼントが1番お嬢様に
相応しいか、誰も彼もニコニコして水面下では熾烈な戦いが行われる。
プレゼントとパーティーの準備も同時進行という
一年の中で1番忙しいと言ってもいい。
(お嬢様の誕生日は戦!)
この時期はお嬢様のため息が多くなる。
「はぁ」
帰り道もため息をついていた。
理由はわかっている。
プレゼントの数もそうだけど、
「陽、本当に出ないとダメ?」
「主役のいないパーティーなんて
聞いたことありませんよ」
「そうだよ〜、それに初めてじゃないんでしょ?」
「それは、そうだけど」
お嬢様曰く、挨拶もそうだが終始ニコニコしていなければいけないのが苦痛らしい。
俺も毎回出席するからその気持ちは痛いほどわかる。
お嬢様の身の周りに加えて他の方にも目を向けなければいけないのは疲れる。
(うだうだ考えても仕方ないし、なるようになる。
とりあえず失礼のないようにしないと)
招待状の配付、会場の設営、当日の料理や流れ、
先に届いていた旦那様からお嬢様のプレゼントを
お嬢様のお部屋へ運んだ。
「今年もある」
プレゼントの山の中から一際目立つ花束。
相手は月島様、という方から。
俺がここに来る前から毎年欠かさず送られている
らしい。
リーダーからお嬢様が誕生されてからずっと
送られていると聞いた。旦那様の旧友かららしい。
(薫さんと同じ苗字、偶然?)
気になったが、旦那様が帰宅する時間が
迫っている。
使用人一同慌ただしく準備を終わらせて落ち着いた
ころ。
ー夕方ー
「ただいまー」
「おかえりなさいませ、旦那様」
おかえりになられた旦那様を出迎えて、
お嬢様の部屋までお供する。
旦那様は明朗快活な方。
使用人全員、旦那様を本心で慕っている。
「みんな元気だった?」
「はい、みなさん変わりなく過ごしています」
「そうか、よかった。
ありがとう、ここまででいいよ」
「失礼します。旦那様」
部屋の前で別れて部屋に戻る。
「おかえり、お父様」
「ただいま、渚。」
「今回はいつまでいられるの?」
「1週間かな」
「珍しいね、いつも次の日に帰るのに」
「大きなプロジェクトがやっと終わったからね」
「お疲れ様」
仕事のこと、学校のこと、私生活、たくさんの話題で
司が夕食だと伝えに来るまで話し込んだ。
次の日の祝日。お暇をいただいて
ショッピングモールへ。
(来たのはいいけどどうしよう。
旦那様のプレゼント、ジャンルが多いし被ったらな。とりあえず見てまわろう。一つくらいピンと来るものがあるかも)
一階、二階にあるお店をほとんど見てまわったが、
しっくりこない。
時計、タオル、ハンカチ、お菓子。
どれもピンとこない。
(何かを作るにしたって俺より上手い人が屋敷に
いるし)
気晴らしにモールの中庭に行くとなにかイベントを
やっていた。
その、イベントの一つ。
「これだ」
ー帰宅後ー
「おかえり、陽」
「ただいま戻りました、お嬢様、旦那様」
サッと紙袋を背に隠した。
「いいもの買えたかい?」
ニコッと笑う旦那様。
「はい、おかげさまで」
部屋に戻って紙袋を机の引き出しにしまう。
戦いに覚悟を決めていた。
9月12日はお嬢様の誕生日。
誕生日にはささやかな社交パーティーが
毎年開かれる。
招待状の配付、会場の設営、当日の料理や流れを
行う。
そして「誕生日プレゼント」
毎年、お嬢様の誕生日の時、
旦那様はたくさんのプレゼントと共に帰ってくる。
プレゼントは服、インテリア用品、珍しいお菓子など
あげたらキリがない。
服はクローゼットに眠ったままになっているのも多々。
使用人一同、誰のプレゼントが1番お嬢様に
相応しいか、誰も彼もニコニコして水面下では熾烈な戦いが行われる。
プレゼントとパーティーの準備も同時進行という
一年の中で1番忙しいと言ってもいい。
(お嬢様の誕生日は戦!)
この時期はお嬢様のため息が多くなる。
「はぁ」
帰り道もため息をついていた。
理由はわかっている。
プレゼントの数もそうだけど、
「陽、本当に出ないとダメ?」
「主役のいないパーティーなんて
聞いたことありませんよ」
「そうだよ〜、それに初めてじゃないんでしょ?」
「それは、そうだけど」
お嬢様曰く、挨拶もそうだが終始ニコニコしていなければいけないのが苦痛らしい。
俺も毎回出席するからその気持ちは痛いほどわかる。
お嬢様の身の周りに加えて他の方にも目を向けなければいけないのは疲れる。
(うだうだ考えても仕方ないし、なるようになる。
とりあえず失礼のないようにしないと)
招待状の配付、会場の設営、当日の料理や流れ、
先に届いていた旦那様からお嬢様のプレゼントを
お嬢様のお部屋へ運んだ。
「今年もある」
プレゼントの山の中から一際目立つ花束。
相手は月島様、という方から。
俺がここに来る前から毎年欠かさず送られている
らしい。
リーダーからお嬢様が誕生されてからずっと
送られていると聞いた。旦那様の旧友かららしい。
(薫さんと同じ苗字、偶然?)
気になったが、旦那様が帰宅する時間が
迫っている。
使用人一同慌ただしく準備を終わらせて落ち着いた
ころ。
ー夕方ー
「ただいまー」
「おかえりなさいませ、旦那様」
おかえりになられた旦那様を出迎えて、
お嬢様の部屋までお供する。
旦那様は明朗快活な方。
使用人全員、旦那様を本心で慕っている。
「みんな元気だった?」
「はい、みなさん変わりなく過ごしています」
「そうか、よかった。
ありがとう、ここまででいいよ」
「失礼します。旦那様」
部屋の前で別れて部屋に戻る。
「おかえり、お父様」
「ただいま、渚。」
「今回はいつまでいられるの?」
「1週間かな」
「珍しいね、いつも次の日に帰るのに」
「大きなプロジェクトがやっと終わったからね」
「お疲れ様」
仕事のこと、学校のこと、私生活、たくさんの話題で
司が夕食だと伝えに来るまで話し込んだ。
次の日の祝日。お暇をいただいて
ショッピングモールへ。
(来たのはいいけどどうしよう。
旦那様のプレゼント、ジャンルが多いし被ったらな。とりあえず見てまわろう。一つくらいピンと来るものがあるかも)
一階、二階にあるお店をほとんど見てまわったが、
しっくりこない。
時計、タオル、ハンカチ、お菓子。
どれもピンとこない。
(何かを作るにしたって俺より上手い人が屋敷に
いるし)
気晴らしにモールの中庭に行くとなにかイベントを
やっていた。
その、イベントの一つ。
「これだ」
ー帰宅後ー
「おかえり、陽」
「ただいま戻りました、お嬢様、旦那様」
サッと紙袋を背に隠した。
「いいもの買えたかい?」
ニコッと笑う旦那様。
「はい、おかげさまで」
部屋に戻って紙袋を机の引き出しにしまう。


