その後はホテルに戻ってオリエンテーション、
夕食と入浴を済ませて部屋に戻る。
就寝時間までにしおりの日記のページを書いて提出。

「伊吹も書き始めないと。
提出するの俺なんだから」
「そんなこと言ったてさー、
実際に書くのって難しくない?」
「まぁ、そうだけど」

「浅田はどうなんだよ。うわっ、細かいな」
浅田は5分もしないで書き終わり、俺に渡してきた。
「よろしく」
「了解」
そのあとなんとか書き終えた伊吹。
(今頃、お嬢様は予習してるのかな)
回収して提出をして部屋に戻って就寝。


2日目の京都でグループ行動。
伏見稲荷大社、嵐山竹林を観光したら少し離れた
場所にあるカフェで遅めの昼食をとり、
グループ行動は終了。

午後は決められた候補から一つ体験学習をする。
和菓子作り、風船の絵付け、念珠づくりなど。

2班は和菓子作りで、教えてくれる場所に移動。
3班も一緒だったけどテーブルが別で、ほとんど
話さなかった。

拳くらいの大きな塊の白あんを自由に
着色して形を作る。
作品ができるまでみんな無言で作っている。
30分後。
(できた、)
桜の花、ひまわり、紅葉、雪うさぎ。

「うまいな」
「浅田も終わったの?」
「うん」


「暁くん、すごい」
「木村さんのもかわいいよ」
浅田は桔梗、木村さんは猫を作っていた。

伊吹と吉田さんの作品はボロボロになっていた。
「こういう作業は苦手で。私のは一応うさぎなん
だけど」
(目が大きすぎて怖いな)

「大きさを合わせてるうちにこんなふうに」
「これはなに?」
「・・・花」
(すごく歪んでる。花びらの大きさが合ってない)

「終わった」
隣の席にいた三上さんが呟いて、作っていたのは
手毬。

「すごいね、三上さん」
「別に、暁のやつに比べたら全然」
そう言ってそっぽ向いてしまった。
できた作品は写真を撮ってからいただいた。

日記を提出して部屋に戻って早く寝る、つもりだった。

「なにやってんの?」
何人かの男子がニヤついている
「あ、暁もやるだろ?」
「なにを」
「旅行でやることと言ったら?」
「え、・・・なんだろう」
「とぼけちゃって、クラスの人気女子ランキング」

(昨夜は疲れてみんな速攻で寝ていたのに。
慣れたんだよな)

メモ帳を適当に違って渡していく。
意外とみんな乗り気で書いていく。
(俺も書かないとな。まぁ難しく考えなくていいか)
「折ってこの中に入れて」

持ってきていたお菓子の缶にみんな入れる。
(クラスの女子、三上さんでいいか)
紙に書いて缶に入れた。

缶を振って回転させて蓋を開けて集計をとる。
1位は吉田さん、2位は木村さん。
三上さんに票を入れたのは俺だけだった。