大学の講義室に残っている里美に声をかけると、熱心にスマホを見ていた里美が顔をあげた。

「なに見てたの?」
尋ねると里美はスマホ画面を私に見せてくれた。

そこには先日の講義の動画が流れている。
「スマホで撮影してたの?」

「ううん、スマホじゃなくてこっち」
里美が差し出してきたのはペンケースの中に入っていたペンだった。

「ペン?」
「うん。ペンとしても使えるけれど、先端が小型カメラになってるんだよ」

そう言うと里美がペンのノック部分を見せてきた。