戸川はパソコン画面から視線をあげて「おぉ」と頷いた。
早くみつけてとっちめてやらないといけない。

そう思っていたところだったのだ。
「でも、それがですね」

要領を得ない羽島の態度に戸川は眉間にシワを寄せる。
こういう職業柄、つい短期になりがちだ。

「早く言え」

「はい。まず夫の俊哉を探して欲しいと言っていたのは田中佳子76歳。妻を探してほしいと言っていたのは田中俊哉80歳でした」

「なんだそれ。それじゃあ夫婦がそれぞれに電話をかけてきてたってことかぁ?」
それじゃいたずら電話で確定だ。