私はそれを正子の手に握らせた。

「このキーホルダーにはおまじないをしてあるの。持ち主に行動力と勇気がつくおまじないだよ」

「おまじない……?」
もちろんそれは嘘だった。

少しでも正子が前向きになってくれればと思って、今咄嗟についた嘘。

それでも正子はキーホルダーをマジマジと見つめて「ありがとう」と、小さな声で言ったのだった。