「この信号が青になったら白線だけ渡って向こうに言ってみようぜ」

渉の言葉に俺はまた笑った。
そんなことを言い出すんだろうと思っていた。

でないと小学校の頃の遊びを話題に出すことなんてない。

ここの白線はこの前ひかれ直されたばかりで、まだ新しく、消えている箇所もほとんどない。

白線遊びにはもってこいだった。
「あぁ、いいよ。白線からはずれたらどうなるんだ?」

「地獄行き」
「物騒だなぁ」

俺はまた笑う。
地獄行きと言っても別に罰ゲームが待っているわけでもない。

俺たちは青信号になるのを待ってから横断歩道を渡り始めた。