高校からの帰り道、俺は友達の渉と一緒に横断歩道の前で信号が変わるのを待っていた。
「そういや、小学この頃横断歩道の白いところしか歩けないとかやらなかった?」

渉がニヤニヤした顔で総質問してきたので、俺は昔の記憶を蘇らせた。

俺が通っていた小学校の近くには小さな横断歩道があり、そこではやはりさっき渉が言ったような遊びをしている生徒が沢山いた。

俺も、その1人だ。
「やったやった。白線以外の場所を踏んだら負けなんだよな」

「俺のときは地獄に落ちるってルールだったなぁ」
「地獄? なんだか物騒だな」

そう言って笑う。

子供の頃には街にあるものすべてが遊び道具になり、帰り道だけで随分と楽しめたものだ。

高校生にもなった今はもちろんそんな遊びはしなくなったけれど。