山里も安心した表情で頷いた。
と、そのときだった。

山小屋のドアが開いてふたりの登山客が入ってきた。

けれどその顔は青ざめていて、休憩するためにここへ入ってきた様子ではない。

「やっぱり人がいた。君たち早く下山した方がいい」

男の言葉に山里がふたりに近づいていった。

「どうかしたんですか?」
山でのトラブルはつきものだ。

山里は冷静さを失わないように質問をした。

「今。山中で死体が発見されたんだって。私達もすぐに下山するつもりなんだ」

「死体?」
山里は振り返ってふたりを見る。