「やだもう、怖いってば!」

大学生の倫子と浩二のふたりは卒業を間近に控えていて、思い出つくりをするためにこの夏は廃墟へきていた。

といっても普通の廃墟ではない。
よく幽霊が目撃されている、いわくつきの家屋だ。

建物内はひどく荒れていて、浩二たちのようなきもだめしの子どもたちが勝手に出入りしていた様子もある。

あちこちに散らばったお菓子の袋や空き缶を踏まないように気をつけながら、ふたりは奥へ進んでいく。

「ほら、こっち」