さくらの花に、愛を込めて。

ソラ「……さくら姫…」

さくら「ソラ王子…」


そんな2人が、恋仲になるのには、
そう時間はかかりませんでした。


___月のきれいな夜、
さくら姫ははじめて、ソラ王子と口づけを交わしたのでした。



____
______

…その夜、さくら姫は夢を見ました。

***

昔々、あるところに、
お姫様と王子様がいました。
幼いころからずっと一緒にいた2人。
何をするのにも、どこに行くのにもいつも一緒。

そうやって同じ時を過ごした2人は
お互いがお互いのことをとても大切に思っていました。

王子様は言いました。

王子様「私は、どんなことがあっても、あなたを守ります。」

また、お姫様は言いました。

お姫様「わたくしは、どんなことがあっても、あなた様を思い続けます。」

2人の言霊は、きれいな空に、溶け、
そのまま消えていきました。

そんな2人の純粋な愛を、
快く思わない人物がいました。

それは、邪悪な心を持つが故に、
国を追われた一人の魔女でした。

この魔女は、実は王子様に恋焦がれていたのです。
しかし、王子様はお姫様一筋。
魔女は、禁忌とされている”人の心を操る魔法”を使って
王子様の心を奪おうとしました。
しかし、それに気づいたお姫様が、その魔法が発動する前に阻止しました。
そして、魔女は、国を追放されたのです。


魔女は思いました。
王子の心を奪ったあの娘が憎い。
私の想いを受け止めない王子憎い。
すべてが憎い。
__と。

そこで魔女は考えました。

それは、ひどく悲しい計画でした。

ほどなくして王子様は、
隣国の視察にでかけることになりました。
そしてその国で、魔女は美しい女に化け、
王子様に近寄ります。

もちろん、王子様はそんなことでは心は揺るぎません。
しかし、魔女はあの禁忌魔法を使ったのです。

王子様は瞬く間に美しい姿に化けた魔女の虜となり、
そのまま一夜を共にしてしまいました。


一方、国で王子様の帰りを待つお姫様のもとに、
赤い花の花束が届きました。

差出人の名前は、王子様。
王子様からの贈り物だと喜んだお姫様は、
その花を部屋に飾りました。

すると、突然花が光り出し、
なんと、王子様と魔女が化けた美女が愛し合っている光景が、目の前に広がりました。

お姫様は、言葉を失いました。
そしてあまりのショックに、
そのまま、倒れてしまいました。

お姫様は、何かのいらずらだ、と忘れようとしました。
しかし、どうしてもあの光景が脳裏から離れません。
そして次第に、信じる心は消えゆき、王子様が自分を裏切ったのだと考えるようになりました。そして、自分を裏切った王子様を憎むようになりました。
憎んで憎んで憎み、どんどん様子が変わっていきました。

美しかった笑顔消え、鋭い眼光に冷たい表情をする、
恐ろしい姿になってしまいました。

しかし、どれだけ姿や心が変わっても、

___”わたくしは、どんなことがあっても、あなた様を思い続けます。”

あの日交わしたこの言霊が、
彼女を縛り続けました。


王子様が憎い。でも、愛おしい。想い続けたい。ほしい。ほしい。


_____ホシイ………

そしてついに、お姫様は王子様を想う気持ちに心が壊れ、
そのまま亡くなってしまいました。


みんなが、お姫様の死を憐れみました。
そして王子様は、自分の行いを悔い、自ら命を絶ちました。

しかし、魔女のおなかには、王子様の子どもの命が宿っていました。
たった一人の息子に先立たれた王様は、
国を追放された魔女が化けているとも知らず、
その女の子どもを、新しい王子様とすることに決めました。


お姫様のお墓は、お城の片隅にひっそりと作られました。
そして____



_____それから100年の月日が流れ、
お姫様のお墓から、一本の木が生えてきたのでした。



***

パチッ


さくら姫「ッ…!!!」

さくら姫は、あまりにもリアルな夢に
目を覚ましました。