さくらの花に、愛を込めて。

ソラ「あの真っ赤な花は、…__人間の血で染まったものなのです。」

さくら「そんな……」


ソラ「あの木が誕生して間もないころ、花が咲いていないその木を私の先祖が最初に見つけました。最初は、ただのサクラの木だと思って放っておいたのですが、数日後に、屋敷の使用人が、血を抜かれたミイラの状態で発見されました。」


ソラ「原因が分からないまま、そういった事件がいくつか続いたそうです。最近変わったことといえば、あのサクラの木が現れたことくらい…ということで、私の先祖は、その木を見つけた場所へ再び足を運びました。」

さくら「………」


ソラ「そして、驚きました。この前は花など咲いていなかったのに、満開になっていたのです。__真っ赤な花びらで。」

それからというもの、
サクラの木による、死亡事件があとを絶たなくなったと
ソラ王子は続けます。

『あの木は呪われており、
人の血を吸うことで生きている』

そのことが分かり、ロスマン帝国は、いろいろな打開策を考えました。

たとえば、献血のように民から少しずつ血を集め、
木に与えてみました。

しかし、どうやら”人間の命を含めた血” すなわち
その人が死ぬまで吸い続けた血でないと、
意味がない、ということが分かっただけでした。

そしてついにロスマン帝国は
自分の国の民を守るためには、
他国の民の命を、
この呪われたサクラの木に与えるしかない、と考えました。


ソラ「そのため、私たちロスマン帝国は、”過激派”となり、争いごとをやめられない国となったのです。」

さくら姫は、何も言わずに、
ただじっと、ソラ王子の話を聞いていました。

さくら「そんなことがあったのですね…。でも、自国で解決できないのであれば、隣国に相談するという選択肢もあったのではないでしょうか…?」

さくら姫の言葉に、
ソラ王子は悲しそうに言います。

ソラ「実は、あの木は、私たちの血筋にしか見えないようなのです。そして、あの木の近くにあったガゼボにも、私たち一族しかたどり着けない場所です。他のものには見えないものを相談しようにも、信じてもらう手立てがありませんでした。」

その言葉を聞いて、
さくら姫は大変驚きました。

ソラ「だから、あなたが、あの木を見たとおっしゃったとき、私は心底驚きました。」