眼鏡屋の福引でミズリーランドの券が当たった!
次の休みに行こうって約束したのに。
急な仕事で行けない?
おおうそつき!
約束を守らないパパとママなんか、いらないよ!
僕は黙って一人で入場口まで来た。
券はあるのに子供一人じゃダメだって。
それでも諦めきれなくてウロウロしていた。
「君、パパとママを待ってるの?」
見ると、キャラクターのうさぎだった。
「パパとママ、うそつきなんだもん……。
約束したのにさ……」
券を見せると、うさぎが特別に入れてあげる、と言って裏口に案内してくれた……!
「この特別券はアトラクションを待たずに乗れるし、園内のお店を制限なく使えるのよ」
「本当に!?」
うさぎと手をつないで、目当てのアトラクションに行くと、並んでいるお客を差し置いてすぐに乗せてくれた。
うわあ、本当に特別なんだ!!
お陰でいつもは乗れないアトラクションに全部乗れた。
レストランでは好きな物を頼みたい放題。
欲しかったグッズも好きなだけ買えた。
「持ちきれないから、友達のパンダくんに手伝ってもらいましょう」
パンダが来て、荷物を全部持ってくれた。
うさぎとパンダの手を握って思った。
今日は本当に夢みたいな最高の一日だ!
「帰りたくないなあ。二人がパパとママだったらいいのに!」
「だったら、僕たち子供になるかい?」
「そんなことできるの?」
「この券を持っている子は特別だからね。誰でもなれるわけじゃないよ」
「じゃあ、僕のうさぎとパンダの子供になりたい!」
「じゃあ、行こう」
導かれるままについて行くと、そこは、ぬいぐるみの保管倉庫だった。
「さあ、君はどれになる?」
「どれになるって?」
「僕たちの子供なら、うさぎやパンダ、くまやぞうにならなきゃいけないよ」
「なれるわけないよ。僕人間だもん」
「いいや、君はぬいぐるみになるんだよ。
大丈夫。大きくなったらまた、今の僕たちみたいに遊園地の中を自由に動けるようになるから」
「そのかわり大きくなる前に人間に買われてしまったら、一生ぬいぐるみのままなのよ」
え、なに言ってるの……?
まるで逃がさないみたいに、うさぎとパンダがギュッと強く僕の手を握った。
「さあ、なんのぬいぐるみになる?」