大きな街のとある一角にて───


「はっ、はっ、はっ」

男が息をあげて走っている。
だがしかし、次の瞬間には地面の出っ張りに突っかかり倒れ込む。

倒れた男はなにかから逃げるかのように知りをついたまま後ずさった。
その目の前を歩くのは一人の少女。

コツ、コツ

少女が迫りくる音に男は敏感に反応して、「ひっ」と言葉にならない声が漏れる。

「くっ、来るなぁ!!」

男が叫ぶと少女は目の前で歩みを止める。

「逃げないでよ、お兄さん。手元が狂う」

カチャ、と音がしたかと思えば、少女の手には銃がおさまっていた。

男はまたもや声を上ずらせる。

カタカタと震える男の眉間に少女は銃を押し当てる。

「一瞬で死ねなくて辛いのは」

少女の冷たい瞳が男の目に映る。

「お兄さんなんだよ?」


ドンッ


銃声が、響いた。