アントンは夜会の日は会場の警備を任されていた。騎士団に仕事の依頼があり、一部の騎士が王宮のいろいろな場所に配置されている。
その日、配置された場所に行くと王太子殿下が現れ、アントンは慌てて騎士の礼をとる。王太子殿下は笑って
「そんな緊張しなくていいよ。」
と言ってくれた。気さくな方だとリシェルに聞いてはいたが、本当に壁を感じさせないお方だと思う。
「君はこの部屋で、このキーワードを聞いたら僕に合図をして欲しい。それまでは何があっても手出しをせずにいてくれるかな。」
王太子殿下はアントンに細かく指示を出す。
「もし、危険な展開になったらどうしますか?」
「命の危険がなければそのままで。」
王太子殿下はニヤリと笑ってそう言った。
夜会の開始から30分ほどして、カップルがアントンの警備する場所にやってきた。この入口近くの場所からは、二人が対面で座っているのが見えて、声もよく聞き取れる。
男性は女性を口説いているようだが、あまりうまくいっているとは思えない。そうこうしているうちに、男性が女性の隣りに移動した。
(うまくいかなくて、実力行使か?)
アントンが警戒を強くする。言葉を聞き逃さないようにしなくては。
そして、王太子殿下の予想通り、そのキーワードが発せられた。アントンは即座に扉外の騎士を通して、王太子に合図を送った。
その日、配置された場所に行くと王太子殿下が現れ、アントンは慌てて騎士の礼をとる。王太子殿下は笑って
「そんな緊張しなくていいよ。」
と言ってくれた。気さくな方だとリシェルに聞いてはいたが、本当に壁を感じさせないお方だと思う。
「君はこの部屋で、このキーワードを聞いたら僕に合図をして欲しい。それまでは何があっても手出しをせずにいてくれるかな。」
王太子殿下はアントンに細かく指示を出す。
「もし、危険な展開になったらどうしますか?」
「命の危険がなければそのままで。」
王太子殿下はニヤリと笑ってそう言った。
夜会の開始から30分ほどして、カップルがアントンの警備する場所にやってきた。この入口近くの場所からは、二人が対面で座っているのが見えて、声もよく聞き取れる。
男性は女性を口説いているようだが、あまりうまくいっているとは思えない。そうこうしているうちに、男性が女性の隣りに移動した。
(うまくいかなくて、実力行使か?)
アントンが警戒を強くする。言葉を聞き逃さないようにしなくては。
そして、王太子殿下の予想通り、そのキーワードが発せられた。アントンは即座に扉外の騎士を通して、王太子に合図を送った。
