「はい。ひとつはアイリスにあげる」
 「え? よろしいのですか?」
 「ええ。この籠バッグ、絶対にもっと売れると思うの。わたくしやアイリスが使えば、注目を集めるでしょう?」
 「なるほど。では遠慮なく頂戴いたします」

 アイリスは嬉しそうに微笑み、その籠製ミニバッグを受け取る。そして、リーゼロッテが手に持つ残りのふたつのバッグを見た。

 「ひとつはリーゼロッテ様が使うとして、もうひとつは?」
 「このあと会う商工会の会長にお渡ししようかと思って。彼なら、この商品のうまい販路をかんがえてくれるはずよ」
 「そういうことですか」

 アイリスは納得したようにうなずく。