「開けるわけにもいかないから、内容は不明だ。ただ、ナリータに潜入している諜報員からの報告では、半年後に開催されるナリータの王太子の生誕祝い関してではないかと」
 「ナリータの王太子は確か、二十一歳で婚約者不在だったな?」
 「ああ、そうだ。恐らく、婚約者選びも兼ねている」
 「だろうな。では、参加するのは王女の可能性が高いな」

 テオドールは顎に手を当てる。

 隣国ナリータとは建国以来、諍いを起こしては和解するということを繰り返しており、今現在は比較的良好な関係を築いている。

 ただ、今の関係が良好だからと言って未来永劫それが続くとは限らない。むしろ、今が良好だからこそこの関係を崩さないように、両国は政略結婚を模索する可能性が高いとテオドールは考えていた。

 「王室からの連絡待ちにはなるが、相応の警備体制を敷くための準備をしておいたほうがよさそうだな」
 「ああ、俺もそう思う」

 カルロはテオドールの意見に同意した。

 「王都の諜報員達にも、何か情報があれば早めに届けるように伝えておくよ」
 「ああ、助か──」

 そこまで言いかけて、テオドールはハッとした。