◇ ◇ ◇
いつにない気だるさを感じながら、リーゼロッテはゆっくりと目を開ける。寝ぼけ眼のまま、視界にもぞもぞと動く人影を見つけた。
「アイリス? もうそんな時間?」
声がかれているのはどうしてだろう。そんなことを思いながら、リーゼロッテはそこにいる人に問いかける。
「朝の六時二十分だ」
低い声がして、リーゼロッテはハッとしてぱちっと目を開ける。そこには昨晩と同じく、軍服をきっちりと身に着けたテオドールがいた。
「旦那様⁉」
慌てて飛び起き、すぐに自分のあられない姿に気づき「きゃっ」と悲鳴を上げて慌てて布団を引き寄せる。
「これが素なのか、初心に見せる演技なのか……本当に大したものだ」
「え?」
言われた意味がよくわからず聞き返すが、テオドールはそれには答えることなくはあっとため息をついた。
「俺は仕事があるからもう行く」
それだけ言うと、テオドールは自分の私室側のドアから寝室を出て行く。ドアが閉まると、かちゃりと鍵が閉められる音がした。
リーゼロッテはベッドに座り込んだまま、しばらく呆然としていた。だんだんとテオドールの足音が遠ざかり、聞こえなくなったタイミングでようやく我に返る。
「嘘でしょう?」
予定では、今日にもリーゼロッテは離縁されて近日中にこの屋敷を出て行くはずだったのに。こんな展開、完全に想定外だ。
いつにない気だるさを感じながら、リーゼロッテはゆっくりと目を開ける。寝ぼけ眼のまま、視界にもぞもぞと動く人影を見つけた。
「アイリス? もうそんな時間?」
声がかれているのはどうしてだろう。そんなことを思いながら、リーゼロッテはそこにいる人に問いかける。
「朝の六時二十分だ」
低い声がして、リーゼロッテはハッとしてぱちっと目を開ける。そこには昨晩と同じく、軍服をきっちりと身に着けたテオドールがいた。
「旦那様⁉」
慌てて飛び起き、すぐに自分のあられない姿に気づき「きゃっ」と悲鳴を上げて慌てて布団を引き寄せる。
「これが素なのか、初心に見せる演技なのか……本当に大したものだ」
「え?」
言われた意味がよくわからず聞き返すが、テオドールはそれには答えることなくはあっとため息をついた。
「俺は仕事があるからもう行く」
それだけ言うと、テオドールは自分の私室側のドアから寝室を出て行く。ドアが閉まると、かちゃりと鍵が閉められる音がした。
リーゼロッテはベッドに座り込んだまま、しばらく呆然としていた。だんだんとテオドールの足音が遠ざかり、聞こえなくなったタイミングでようやく我に返る。
「嘘でしょう?」
予定では、今日にもリーゼロッテは離縁されて近日中にこの屋敷を出て行くはずだったのに。こんな展開、完全に想定外だ。



