(大した演技力だな)

 もしもリーゼロッテが毒婦だと事前に知らなかったら、完全に騙されていたかもしれない。
テオドールが普段相手にするのは基本、職業娼婦もしくは向こうから誘ってきた女だ。ほぼ全員がその方面の手練れなので余計にそう感じるのかもしれないが、それほどまでに見事な演技だった。

「いいだろう」

 テオドールは数秒逡巡し、その願いを聞き入れることにした。彼自身も、無理やり彼女を暴くことに多少の罪悪感を覚えていたのだ。
 テオドールは彼女の両足を広げると、ゆっくりと腰を進める。

(狭いな)

 締りがよいとも言えるが、それにしたって狭い。

「力を抜け」
「……で、できません」

 差し込む月明かりに照らされ、リーゼロッテが固く唇をかみしめているのが見えた。

「そうか。では、仕方がない」

 抜いてくれるのかと期待に満ちた目でリーゼロッテが自分を見つめた瞬間、テオドールは一気に彼女の最奥へと突き上げる。最初こそ悲鳴に似た声に甘さが混じるまでには、さほど時間はかからなかった。