そのとき、メイドのひとりが声を上げる。
「ちょっと待って! オーバン公爵令嬢のリーゼロッテ様ですって?」
「そうだけど、どうしたの?」
「私、その方のこと聞いたことあるわ。王都でメイドをしている従妹を訪ねたとき、噂になっていたの」
「へえ。どんな噂なの?」
周囲にいるメイドが聞き返す。
「それがね──」
口元に手を当てて記憶を辿るように、彼女はゆっくりと話し始める。
リーゼロッテ様は自身の元婚約者に近づいた女性への陰湿ないじめで断罪された悪女で、そのくせ自身は男に色目を使う毒婦だと。
「ええ? そんな人が来るなんて、大丈夫かしら?」
部屋にいたメイドのひとりが心配げに声を上げる。
「陰湿ないじめなんて、最低だわ」
別のメイドは憤慨するように語気を荒くすると、先ほどまではお祝いモードだった部屋の雰囲気が一転する。
「そんな奥様、追い出してしまいましょうよ」
誰からともなく発せられた言葉がその部屋全員の総意となるのは自然な流れだった。
「ちょっと待って! オーバン公爵令嬢のリーゼロッテ様ですって?」
「そうだけど、どうしたの?」
「私、その方のこと聞いたことあるわ。王都でメイドをしている従妹を訪ねたとき、噂になっていたの」
「へえ。どんな噂なの?」
周囲にいるメイドが聞き返す。
「それがね──」
口元に手を当てて記憶を辿るように、彼女はゆっくりと話し始める。
リーゼロッテ様は自身の元婚約者に近づいた女性への陰湿ないじめで断罪された悪女で、そのくせ自身は男に色目を使う毒婦だと。
「ええ? そんな人が来るなんて、大丈夫かしら?」
部屋にいたメイドのひとりが心配げに声を上げる。
「陰湿ないじめなんて、最低だわ」
別のメイドは憤慨するように語気を荒くすると、先ほどまではお祝いモードだった部屋の雰囲気が一転する。
「そんな奥様、追い出してしまいましょうよ」
誰からともなく発せられた言葉がその部屋全員の総意となるのは自然な流れだった。