嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉



 翌朝、ふと眩しさを感じたリーゼロッテは薄っすらと目を開ける。すぐ視界に飛び込んできたのは、窓から差し込む光と赤らみ始めた空だ。

「え? 嘘っ!」

 昨日、本を読みながらうっかり寝てしまったことに気づいたリーゼロッテは顔を青くする。慌てて飛び起きるが、ベッドには誰もいない。

(……いらっしゃらないわ)

 寝台のシーツは昨日整えられたままの綺麗な状態だった。室内を見回しても、誰かが来たような気配もない。

(もしかして、徹夜でお仕事を?)

 朝の準備の手伝いにやって来たアイリスにテオドールのことを尋ねるが、何も知らないという。

(昨日は残念だったけど、きっと今日はお目にかかれるわ)

 しかし、そんなリーゼロッテの期待を裏切るように、翌日もその翌日も、テオドールがリーゼロッテの前に現れることはなかった。