セドリックに案内された部屋は、屋敷の三階に位置する一室だった。この屋敷は三階建てなので、最上階ということになる。

「何か不足するものがあったらなんなりと彼女に申し付けください。こちらは奥様付きの侍女になるアイリスです」

 部屋の前で紹介されたのはまだ年若いメイドだった。茶色い髪をみつあみにしており、まだあどけなさが残る顔立ちから十代だろうと予想がつく。黒いワンピースタイプのメイド服に白いエプロンをしており、頭にはメイド用のヘッドレスを付けている。

「どうぞよろしくね」

 声をかけると、アイリスは表情をこわばらせたまま頭を下げる。その機械的な動作に、彼女からもあまり歓迎されていないことを感じた。