もしこのまま見つからなければ、逆上したドラゴンが暴れて町に甚大な被害が出るかもしれない。そして、テオドールも無事では済まないかもしれない。
「ねえ、わたくしをイラリア殿下たちが落ちたあたりに連れて行って」
リーゼロッテは傍らにいたヒッポグリフにお願いする。するとヒッポグリフは体を縮めた。
「ありがとう!」
リーゼロッテは唇を引き結ぶと、ヒッポグリフに飛び立った。
その日はそのあとも、町全体が混乱していた。
ドラゴンの被害がどれくらい出たのかの確認やイラリア達の対応で、全員が忙しくすごす。
そんな中、落ち着かない気持ちで私室にいたリーゼロッテの元をテオドールが訪ねてきたのは日付が変わるかかわらないかという時刻だった。
「旦那様! 王女殿下とラット卿は?」
「ふたりとも生きてはいるが、重傷だ。明日、ナリータには外務大臣だけで行ってもらうことになった」
「はい」
リーゼロッテは頷く。
現場で少し見えたイラリアの顔からはおびただしい血が流れ、金色の髪が真っ赤に染まっていた。あの大怪我で外国訪問は絶対に無理だ。
テオドールはリーゼロッテの顔を見つめ、両腕で彼女の体を強く引く。
急に抱き締められ、リーゼロッテは驚いた。



