「どうした、イラリア。お前がここに訪ねてくるなど、珍しいな」
「お忙しいところ申し訳ございません。でも、すぐにお伝えしたいことがありまして」
「なんだ?」
国王は持っていたペンを置くと、ゆったりと背もたれに体を預けてイラリアを見る。
「実は、わたくしの近衛騎士であるラット伯爵家のアドルフですが、オーバン公爵令嬢のリーゼロッテ様と婚約を円満解消することで合意しましたな。ですから、リーゼロッテ様は婚約者不在になります」
「ほう?」
国王はイラリアを探るような目で見つめる。
「お父様、前々から例の方になかなかよい相手がいないと悩まれていたでしょう? 今日いらしていたみたいですけれど、どなたかと縁談は決まっていらっしゃいましたか?」
「いや、まだのようだ」
「まあ! では、わたくしがここに来た甲斐がございます」
イラリアは朗らかに笑う。
「オーバン公爵令嬢が、打ってつけなのではないかと」
「なるほどな」
国王は口ひげの生えた口元に薄っすらと笑みを浮かべる。
「それは名案だ」
その返事を聞き、イラリアは笑い出したい衝動を抑えるのが大変だった。
「お忙しいところ申し訳ございません。でも、すぐにお伝えしたいことがありまして」
「なんだ?」
国王は持っていたペンを置くと、ゆったりと背もたれに体を預けてイラリアを見る。
「実は、わたくしの近衛騎士であるラット伯爵家のアドルフですが、オーバン公爵令嬢のリーゼロッテ様と婚約を円満解消することで合意しましたな。ですから、リーゼロッテ様は婚約者不在になります」
「ほう?」
国王はイラリアを探るような目で見つめる。
「お父様、前々から例の方になかなかよい相手がいないと悩まれていたでしょう? 今日いらしていたみたいですけれど、どなたかと縁談は決まっていらっしゃいましたか?」
「いや、まだのようだ」
「まあ! では、わたくしがここに来た甲斐がございます」
イラリアは朗らかに笑う。
「オーバン公爵令嬢が、打ってつけなのではないかと」
「なるほどな」
国王は口ひげの生えた口元に薄っすらと笑みを浮かべる。
「それは名案だ」
その返事を聞き、イラリアは笑い出したい衝動を抑えるのが大変だった。



