いつの間にか夕焼けで大地がオレンジ色に染まり始める。
(本当に、綺麗……)
リーゼロッテはその景色にしばし見惚れる。
テオドールが守っているこの地域の発展のために、自分も頑張りたいと思った。
◇ ◇ ◇
王女イラリアが来訪するまであと一カ月に迫ったこの日、テオドールは幻獣騎士団と共に森に来ていた。テオドールは目の前に広がる光景に思わず舌打ちする。
「よりによって今か。タイミングが悪いな」
「はい。繁殖期には特に気性が荒くなるので、注意が必要かと」
テオドールを案内した師団長が頷く。
ラフォン領の森には、多くの幻獣や動物が暮らし、共生している。だが、ときにそれら幻獣や動物達によって人が傷つけられる被害が発生するので、幻獣騎士団では毎日のように森に異変がないか巡回している。
そして、森の中の異変を知らせる報告が数日前に上がって来たので、今日はテオドールも同行して確認しに来た。
森の奥の崖沿いにはいくつもの鳥の巣のようなものが見えた。ただ、サイズは鳥の巣とは比べ物にならず、直径二メートル近くある。ドラゴンの巣だ。
ドラゴンは幻獣の中でも最大にして最強の種だが、普段は山の奥深くに生息しており人が住む地域には降りてこない。ただ、数年に一度の周期で繁殖のために一斉に森に降りてくる時期があり、その際は気が立っているから特に注意が必要だ。



