リーゼロッテは頷く。ふと視線を前に向けると、今まで見たことがないような雄大な景色が広がっていた。
「わあ、素敵!」
眼下に見える一番大きな建物が、普段リーゼロッテがいる屋敷──ラフォン領主館だろう。そこから放射線状に町が広がり、一部は森へと繋がる。森は緑の絨毯のように、どこまでも続いていた。
「ここはとても美しいところですね」
「気に入った?」
「はい。とても」
リーゼロッテは頷く。
「それに、旦那様に幻獣に乗せてもらうことなど剣技大会以来なので、とても嬉しいです。普段、昼間はほとんど一緒に過ごすことができないので」
テオドールは目を瞬くと、フッと笑う。リーゼロッテの顎を掬うと、触れるだけのキスをした。
「だ、旦那様⁉」
外でキスをされたことなど初めてなので、リーゼロッテは驚いてあわあわする。
「リーゼロッテが可愛いことを言うのが悪い」
「わたくしのせい⁉」
唖然とするリーゼロッテを見て、テオドールは楽しげだ。
「もう……っ、仕方ないですね」
こうして許してしまうくらい、リーゼロッテはテオドールに夢中だ。テオドールは後ろからリーゼロッテをぎゅっと抱きしめ、首元のあたりの髪に顔を埋めた。



