「受け入れできます。そうお伝えください」
「いいのか? 断ってもいいんだぞ?」

 テオドールが心配そうにリーゼロッテを見つめる。

「大丈夫です。これでも、将来は公爵家を継ぐべく教育を受けてきたので一通りのことはできます。それに──」
「それに?」
「旦那様のお役に立ちたいです」

 おずおずと告げると、テオドールは心配そうにリーゼロッテを見つめる。

「ありがとう。だが、無理はするな」
「はい」

 リーゼロッテが微笑めばテオドールも口角を上げ、ふたりの間に甘い空気が流れる。

「あのさ、おふたりさん。俺がいるときにふたりだけの世界に入るのやめてくれる?」

 カルロの漏らした愚痴が、むなしく部屋に響いたのだった。