「それは俺も同じだ。最低な夫だと思われていただろう」
「それは否定しません」
すんとした顔で答えると、「なかなかはっきり言うな」とテオドールは苦笑する。
そして、ふたりはどちらからともなくくすくすと笑い出した。
「今の話を全て信じるのか? 俺が作り話をして、きみを騙しているかもしれない」
テオドールはリーゼロッテの顔を覗き込み、意地悪そうな笑みを浮かべる。
「いいえ、騙しておりません。あなたはそういう人です」
リーゼロッテはテオドールの目を見て、はっきりとそう告げた。
テオドールと接するようになったのは最近のことだけど、彼が嘘をついてリーゼロッテを騙すような姑息な真似をするような人ではないことはわかる。
ただ、彼はきっと自分を信じ、自分も信じられる存在が欲しいのだ。だからリーゼロッテのことを試すようなことを言ったりやったりする。
「きみは優しすぎる。俺は殴られても文句を言えないようなことをしたのに、一度も罵倒したりしなかった。怒っていないのか?」
「怒っています。では、お言葉に甘えて旦那様を殴っても?」
こてんと首を傾げて尋ねれば、テオドールは大きく目を見開く。しかし、戸惑ったように見えたのは一瞬だけで、すぐに唇を引き結んだ。



