バレンタインと恋の魔法

よそよそしかったクラスメイトが心配するように私を囲んできた。



「知らないの?最近、雪平さんが天馬先輩と絡んでるから二人付き合ってるんじゃないかって噂されてて、だとしたら雪平さんと関わるのも怖いからやめとこってなってたんだよ」



そこでやっとみんなの態度がおかしかった理由がわかった。



「でもやっぱりデマだったんだね」


「なんか弱みでも握られてたんでしょ?」


「かわいそう、雪平さん」



好き勝手言う周りの人たちに、曖昧に笑い返すことしかできなかった。


今はそんなことよりも、やっと近づけたと思っていた先輩に拒絶されたことの方がずっと苦しかった。





「あ、杏ちゃん。いらっしゃい。今日は琥太郎いないよ?」



お店にはまだ川田さんだけしかいなかった。


きっと葉山さんと結城さんは割とマイペースなところがあるから、遅れてやってくるだろう。



「はい、あの、もうここには来れないかもしれないってことを伝えにきただけなので…」


「え?どういうこと?」



カウンター席に腰掛け、なんとか笑顔を作りながら話し出す。



「今日、天馬先輩にもう俺に話しかけるな、って言われちゃったんです。お店にも来るなって。…きっと私が何かしちゃって怒らせちゃったのかな…。全然覚えがないんですけど、本当、なんでなんだろ…」