バレンタインと恋の魔法




「あ、先輩!遅れてごめんなさい。終礼が長引いちゃって…」



校門の前でスマホをいじっていた先輩がすっと顔を上げた。



「…ああ、別に。行くか」



スタスタと歩き出した先輩の隣に並んで、どこに行くんだろうと頭を働かせる。



最近では歩くペースを私に合わせてくれるようになり、ついていくのが随分と楽になった。


その気遣いや優しさに、少しくすぐったい気持ちになったけど、純粋に嬉しかった。



「え、ここですか…?」



迷いなく先輩が中に入っていった場所は、スイーツバイキングのお店だった。



「予約してた天馬なんすけど」


「あ、は、はい…。えっと、二名様ですね、こちらへどうぞ…」



あまりにも場違いな強面の先輩の登場に、店員さんも若干戸惑い気味だ。



「今日は好きなだけ食え。全部俺のおごりだ」


「…え?な、なんで急に…。そんなの悪いですよ」


「いいんだよ。これはあれだ。えっと…敵情視察だ。他の店のスイーツを参考に、昼間のカフェで出せるメニューを考えてこいっていう先輩からの命令」


「ああ、なるほど」