バレンタインと恋の魔法

「へ…!?」



翠がにやーっと口角を上げて、私の真似をしてきた。



「こんな感じで今の杏ちゃんにっこにこしてる。もしかして、例の先輩から?」



友達である翠には先輩と出会ったきっかけから最近の近況まで全部教えていた。



「えっと、うん…」


「わあ、よかったね。デートのお誘いなんて羨ましいなぁ」


「な、で、デートじゃな…」



くはないのか…?


んんと唸る私に翠はふふっと可愛く笑うと、「でも」と続けた。



「でも、好きなんでしょ?杏ちゃんは」


「…うん。そう、だと思う」



これが恋なのか?と聞かれたら即答できるほど私は恋愛経験を積んでいるわけじゃないけど、私は先輩が好きなんだ、とすんなり納得する気持ちがあった。


ギャップのある先輩に、惹かれない理由がない。



「杏ちゃんが好きならそれは立派なデートだよ。楽しんできてね」



自分のことのように喜んでくれる翠に、「あー好き!」と叫んで抱きつく。


私はいい友達を持った。もしも翠に好きな人ができた時には、私も全力で応援しよう。


そう心の中で固く誓って、大好きな親友を抱きしめる腕に力を込めた。