バレンタインと恋の魔法

「いや、知り合い、ではないんですけど…。今日初めて話したし…」



ちらりと先輩を見上げると、先輩も気まずそうになんとも言えない顔をしていた。



「ふーん。ま、もうダチだろ!俺らと杏ちゃんも、琥太郎と杏ちゃんも」



川田さんにぐいっと腕を引かれ、先輩と握手をさせられた。


さっきはわかんなかったけど、私よりもはるかに大きな手に少しだけどきりとする。



「ちょ、やめてください、川田さん…!」



真っ赤な顔をした先輩に手を振り払われる。



「あはは、赤くなっちゃって。ちょうどいい機会だろ。おまえ女慣れしてないし、杏ちゃんという良き友達を通して治していけよ」


「な、勝手なこと…」


「なになに、おもしろそーじゃん!じゃあ手始めに連絡先交換してー明日の朝一緒に登校ー!」



結城さんがびしっとほうきを私たち二人に向けて突き出してきて、びっくりして目を丸くする。



「なんで俺がそんなこと…!」


「だーめ。琥太郎に拒否権なんてないの!これ、先輩命令な!」



川田さんたち三人には頭が上がらないのか、渋々といった様子で先輩がスマホを取り出した。



「…早く」


「え、あ、はい」