「そうなんですか。私は、とてもしっかりされた方と印象を受けましたが」
「そりゃ、若いお姉さんには良い顔するわよねぇ。匡は、もう五十過ぎたでしょう? だから、たまにはカッコつけたいんじゃないのかしらね」
「あ、そん……なもの、ですかね」
流石、長年地元に根付いた喫茶店を切り盛りして来た夫婦だ。父親は寡黙だけれど、補うように母親はよく喋る。まるで隣近所のおばちゃんのようで、すぐに仲良くなれそうな、そんな温かさだった。ただし、五十過ぎたでしょう、と同意を求められても、樹里は彼の正確な年齢を知らない。
「はい、どうぞ。父さんと母さんは、お茶にしたよ」
「あら、ありがとう」
「何話してたの?」
「え? 匡が五十過ぎたって話?」
母親は細かいところを端折り、年齢の話だけに強引に纏める。ねぇ、と同意を求められた樹里も、微笑む以外なかった。
「母さん、あのねぇ。今日はそういう話はしないの。まったく。松村さん、ごめんなさい」
「あぁ、いえ。とても仲の良いご家族ですね」
「そうなのよ。男ばっかりだけれど、よく集まってくれてねぇ。この子は三番目なんだけど、ここ継いでくれて。まぁ上の二人は、会社勤めだからね。諦めて畳むつもりだったんだけどねぇ」
「母さん、ちょっと黙ろうか」
斎藤が継ぐことは計算になかったのか、と謎が残る。そう思っている間にも、斎藤は必死に母親を制していて、思わずクスクスッと声を出してしまった。
「あっ、申し訳ありません」
すぐに取り繕い、できるだけ柔和な笑みを作る。だがそれを見た母親は、何故かニコニコと視線を寄越した。
「そりゃ、若いお姉さんには良い顔するわよねぇ。匡は、もう五十過ぎたでしょう? だから、たまにはカッコつけたいんじゃないのかしらね」
「あ、そん……なもの、ですかね」
流石、長年地元に根付いた喫茶店を切り盛りして来た夫婦だ。父親は寡黙だけれど、補うように母親はよく喋る。まるで隣近所のおばちゃんのようで、すぐに仲良くなれそうな、そんな温かさだった。ただし、五十過ぎたでしょう、と同意を求められても、樹里は彼の正確な年齢を知らない。
「はい、どうぞ。父さんと母さんは、お茶にしたよ」
「あら、ありがとう」
「何話してたの?」
「え? 匡が五十過ぎたって話?」
母親は細かいところを端折り、年齢の話だけに強引に纏める。ねぇ、と同意を求められた樹里も、微笑む以外なかった。
「母さん、あのねぇ。今日はそういう話はしないの。まったく。松村さん、ごめんなさい」
「あぁ、いえ。とても仲の良いご家族ですね」
「そうなのよ。男ばっかりだけれど、よく集まってくれてねぇ。この子は三番目なんだけど、ここ継いでくれて。まぁ上の二人は、会社勤めだからね。諦めて畳むつもりだったんだけどねぇ」
「母さん、ちょっと黙ろうか」
斎藤が継ぐことは計算になかったのか、と謎が残る。そう思っている間にも、斎藤は必死に母親を制していて、思わずクスクスッと声を出してしまった。
「あっ、申し訳ありません」
すぐに取り繕い、できるだけ柔和な笑みを作る。だがそれを見た母親は、何故かニコニコと視線を寄越した。

