ジングルベルは、もう鳴らない

「あんた馬鹿なの?」

 急に飛び込んできた苛立つ女の声に、樹里は驚き顔を上げる。そしてすぐ、髪の綺麗な女が目の前の男を平手打ちした。それは躊躇うこともなく、実に見事だった。