〇贈答学園高校3階・1年2組
前に教壇がある。机が並べられている。後ろに掃除具のロッカー。生徒のロッカー。
掃除具のロッカーのところに生徒がたかっている。
吉田まき、原宿みな、前の扉から現れる。
まき「ほら、みんな席についた、ついた」
生徒たち、席につく。
まき「みんな昨日起こったことで、騒いでいるが、あらぬ噂をたてたり、原宿さんになんか聞いたりしないように」
まき「でないと、プライバシー侵害になるからね」
まき「ロッカーと床は清掃の人が掃除してくれたから問題ないよ」
まき「あとは担任の先生から話してもらうから」
まき「原宿さん、自分の席へ」
みな「あ、はい」
みな、席につく。
まき、左手の手のひらを上にして時計を見る。
まき「もうすぐ担任の先生くるからね」
まき、黙っている。生徒たち、黙っている。
がらがら、戸が開く。
まき「ああ、神宮寺先生」
神宮寺さき(50歳)現れる。黒髪を後ろにひっつめている。痩せている。
さき「吉田先生、ありがとうございます」
まき「じゃあ、私はこれで」
さき「はい」
まき、退室。がらがらと扉をしめていく。
さき「はい、皆さん」
シーンとしている。
さき「昨日、掃除具のロッカーから裸の男性が出てきたという噂が飛び交っていますが、それについて、変に噂をたてたり、追及したり、原宿さんに質問したりすることのないように」
さき「でないとプライバシー侵害になります」
さき「プライバシー侵害とは私生活上の事実、または事実と受け取られる可能性のある事柄で、一般的な感覚を基準として考えると、公開をしてほしくないであろうと認められる事柄であること。そして一般の人にまだ知られていない事柄であること」
生徒、シーン。
さき「プライバシー侵害があった場合、民法709条、不法行為となります」
生徒たち口々に「え、不法行為?」
さき「故意、または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害したものは、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。つまり、皆さんがこの件を追及したり、言いふらしたりすれば、わが校や原宿さんに損害賠償責任が生じます」
女子生徒A「ええ、そんなこと言われても、うちら無責任だしい」
男子生徒A「そうそう俺たち責任感ないんだよねえ」
女子生徒C「うちらは責任のがれ」
さき、咳払いする。
さき「そんなことは関係ありません。要は責任能力があるか、どうかです」
生徒たち「ええ、責任能力う」
さき「そうです。責任能力を持たないものを責任無能力者といいます」
さき「18歳未満のみなさんの場合、当該少年の育成度などを考慮して、判断されます」
生徒たち「え、当該少年」
さき「損害賠償責任がとれないなら、刑事責任、国家によって刑罰を科される責任を負いますか」
生徒たち「えー」
女性生徒A「うちらは責任能力のなさ」
さき、咳払い。
さき「責任能力とは、自分のやっていることが罪になるとわかっていて、法的制裁を受けることがわかっていることです」
生徒たち「えー」
さき「ですから、この件に関してはあることないこといいふらしたり、追及したりしないように」
生徒たち、シーン。
さき「では、ホームルームを始めましょう」
〇贈答学園高校3階・廊下
1年2組の札。
近藤、立っている。まき、1年2組から出てくる。近藤、まき、窓へ行く。
近藤「(小声で)やはりワルキューレの仕業か」
まき「(小声で)でしょうね」
〇贈答学園高校3階・1年2組
教壇に神宮寺さき。生徒たちが机についている。みな、机についている。
みな、モノローグ「えらいことになったあ」
みな、モノローグ「一体これからどうなるの」
前に教壇がある。机が並べられている。後ろに掃除具のロッカー。生徒のロッカー。
掃除具のロッカーのところに生徒がたかっている。
吉田まき、原宿みな、前の扉から現れる。
まき「ほら、みんな席についた、ついた」
生徒たち、席につく。
まき「みんな昨日起こったことで、騒いでいるが、あらぬ噂をたてたり、原宿さんになんか聞いたりしないように」
まき「でないと、プライバシー侵害になるからね」
まき「ロッカーと床は清掃の人が掃除してくれたから問題ないよ」
まき「あとは担任の先生から話してもらうから」
まき「原宿さん、自分の席へ」
みな「あ、はい」
みな、席につく。
まき、左手の手のひらを上にして時計を見る。
まき「もうすぐ担任の先生くるからね」
まき、黙っている。生徒たち、黙っている。
がらがら、戸が開く。
まき「ああ、神宮寺先生」
神宮寺さき(50歳)現れる。黒髪を後ろにひっつめている。痩せている。
さき「吉田先生、ありがとうございます」
まき「じゃあ、私はこれで」
さき「はい」
まき、退室。がらがらと扉をしめていく。
さき「はい、皆さん」
シーンとしている。
さき「昨日、掃除具のロッカーから裸の男性が出てきたという噂が飛び交っていますが、それについて、変に噂をたてたり、追及したり、原宿さんに質問したりすることのないように」
さき「でないとプライバシー侵害になります」
さき「プライバシー侵害とは私生活上の事実、または事実と受け取られる可能性のある事柄で、一般的な感覚を基準として考えると、公開をしてほしくないであろうと認められる事柄であること。そして一般の人にまだ知られていない事柄であること」
生徒、シーン。
さき「プライバシー侵害があった場合、民法709条、不法行為となります」
生徒たち口々に「え、不法行為?」
さき「故意、または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害したものは、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。つまり、皆さんがこの件を追及したり、言いふらしたりすれば、わが校や原宿さんに損害賠償責任が生じます」
女子生徒A「ええ、そんなこと言われても、うちら無責任だしい」
男子生徒A「そうそう俺たち責任感ないんだよねえ」
女子生徒C「うちらは責任のがれ」
さき、咳払いする。
さき「そんなことは関係ありません。要は責任能力があるか、どうかです」
生徒たち「ええ、責任能力う」
さき「そうです。責任能力を持たないものを責任無能力者といいます」
さき「18歳未満のみなさんの場合、当該少年の育成度などを考慮して、判断されます」
生徒たち「え、当該少年」
さき「損害賠償責任がとれないなら、刑事責任、国家によって刑罰を科される責任を負いますか」
生徒たち「えー」
女性生徒A「うちらは責任能力のなさ」
さき、咳払い。
さき「責任能力とは、自分のやっていることが罪になるとわかっていて、法的制裁を受けることがわかっていることです」
生徒たち「えー」
さき「ですから、この件に関してはあることないこといいふらしたり、追及したりしないように」
生徒たち、シーン。
さき「では、ホームルームを始めましょう」
〇贈答学園高校3階・廊下
1年2組の札。
近藤、立っている。まき、1年2組から出てくる。近藤、まき、窓へ行く。
近藤「(小声で)やはりワルキューレの仕業か」
まき「(小声で)でしょうね」
〇贈答学園高校3階・1年2組
教壇に神宮寺さき。生徒たちが机についている。みな、机についている。
みな、モノローグ「えらいことになったあ」
みな、モノローグ「一体これからどうなるの」



