〇学習室
机が並べられている。女子中高生たちが、勉強をしている。
原宿みな(15歳)、机の前に立っている。
茶色の髪。耳の上ツインテール、ラビットスタイル。痩せている。茶色の制服を着ている。胸にリボンタイ。ボレロとジャンパースカート。ローファーをはいている。靴下は黒のハイカット丈。腕時計をしている。
カバンを机に置き、中の教科書やノートを取り出している。カバンは合皮バッグ。バッグには落書きはされていない。リボンがついている。
みな、モノローグ「私の名前は原宿みな、15歳。花のJkでえす」
みな「あれ、ない」
みな、机にカバンの中のものを出す。
みな「ない」
みな、出したものをひとつづつチェックしてカバンに入れる。
みな「あああああああああああ。学校に忘れてきたんだあ」
みな、モノローグ「私はこの春、贈答学園高校に入った」
みな「仕方ないなあ」
みな、かばんを肩にかけ、学習室を退出。
〇公道
広い歩道。みな、歩いている。
みな、モノローグ「今は4月。少女漫画のようなドラマチックな出会いを期待する」
みな、歩いている。曲がり角がある。
みな、モノローグ「例えば、曲がり角で出合い頭にハンサムな男の人と出会うとか」
曲がり角を曲がるが、誰もいない。
みな「はあ(溜息)」
みな、歩いている。
〇公園の前の歩道
みな、歩いている。
みな、モノローグ「例えば、人気のない公園のベンチですごいイケメンが泣いているとか」
みな、公園を見る。誰もいない。ベンチのアップ。誰も座っていない。
みな「はあ(溜息)」
〇街中
みな、歩いている。
みな、モノローグ「例えば、イケメンが誰かに追われていて逃げてくるとか」
サングラスの中年男性が走ってくる。
みな「え」
サングラスの男性、みなを通り過ぎる。コックの男性が走ってくる。
みな「え」
コックの男性「今日こそ、つけ払ってもらうぞ」
コックの男性、みなを通り過ぎる。
みな、後ろを振り返る。
みな「はあ(溜息)」
みな、歩いている。前から荷物を片手に持ったハンサムな男性が歩いてくる。
みな、モノローグ「例えば、運び屋のお兄さんが、すれ違いざま荷物をうっかり落としてしまう。それを私が拾うとか」
みな、ハンサムな男性とすれ違う。男性、荷物をしっかり持っている。男性、行ってしまう。
みな「はあ(溜息)」
みな、歩いている。前から野良犬が歩いてくる。
みな、モノローグ「例えば、野良犬が、イケメンに擬人化するとか」
野良犬、みなとすれ違っていく。野良犬行く。
みな「はあ(溜息)」
みな、歩いている。建物や人々を通り過ぎる。何事もない平穏な街並み。
〇贈答学園高校正門前
贈答学園高等学校と彫られた門。みな、門を通っていく。
〇贈答学園高校・校庭
校庭には誰もいない。
校舎がある。
みな、校舎へ向かう。
みな(なんか気味悪いなあ)
〇贈答学園高校・校舎玄関
電気がついている。
がらん、としている。みな、下駄箱へ行き、スリッパを取りだし、靴を入れる。
みな、モノローグ「女の子は春になると、少女漫画のようなドラマチックな出会いを妄想する」
〇贈答学園高校・廊下
電気がついている。みな、歩いている。誰もいない。
〇贈答学園高校3階・教室
教室には誰もいない。ロッカーが並んでおり、ドア側に掃除具の長方形のロッカーがある。
黒板側のドアが開く。がらがら。
壁に電気のスイッチ。みなの手、スイッチを入れる。電気がつく。
みな「忘れ物。忘れ物」
みな、モノローグ「例えば、隣にハンサムな人が越してくる」
みな、自分の机に行く。
みな机の引き出しをまさぐる。教科書を取り出す。
みな「あった。あった」
みな、モノローグ「例えば学校を牛耳るイケメングループに目をつけられるとか」
みな、教科書を鞄の中に入れる。
掃除具のロッカーから息遣いがする。
みな「ん」
みな、モノローグ「例えば、見知らぬイケメンが現れて「やあ、〇〇」といきなり自分の名前を呼んでくる」
みな、後ろを振り返る。
掃除具のロッカー、アップ。
掃除具のロッカーから息遣い。
みな、ぞーっとする。
みな(え、何)
みな、モノローグ「例えば、病院へ行ったら、すごいかっこいい先生が出てきたとか」
掃除具のロッカーから息遣い。
みな(ちょ、ちょっと待てよ)
みな、そおっと掃除具のロッカーに近づく。
みな、モノローグ「女の子は素敵な出会いを求めている」
みな(何これ。学校の怪談!)
掃除具のロッカーから息遣い。
みな、意を決して、そおっとロッカーのドアを開ける。
裸の金髪の男が倒れてきた、シャルル・サガン(16歳)、傷だらけである。
みな「きゃー」
みな、後ろへ飛びのく。
床にサガン、横向きに裸で横たわっている。
みな「な、ななななな何これえええええ」
みな、サガンから離れる。みな、しゃがみこむ。
みな「え、何これ。不審者あ。男の不審者あ。け、警察、警察う」
みな、モノローグ「私の出会いは」
みな、モノローグ「いきなり、裸の男がロッカーから生まれたのだ」
みな「つ、通報しなきゃ、通報しなきゃ」
みな、モノローグ「なんてミステリアスな出会いなんだ」
みな「ああ、こいつ一体誰だあ」
みな、モノローグ「これって、少女漫画じゃなくて、まるでやくざ映画だあ」
「どうした」
吉田まき(25歳)が現れる。黒髪、上の方お団子。黒いスーツにタイトスカート、黒いヒールをはいている。眼鏡をかけている。切れ長な目、黒い瞳。鼻筋が通っている。真っ赤な口紅をしている。美人。痩せている。腰はくびれている。
みな「え」
みな「あ、あなたは」
まき「生徒指導の吉田」
みな「せ、先生、不審者、不審者、男の不審者!」
まき「わかった、わかった、落ち着いて」
まき、サガンに近づく。
まき「こりゃあ、2年生の留学生、シャルルだわ」
みな「シャルル?」
まき「ええ、フランス人よ」
みな「フ、フランス人!」
まき、サガンの顔を上向かせる。サガン、口を切っている。まき、サガンの首に手をあてる。
まき「大変、救急車」
まき、スマホを取り出す。まき、救急車を呼ぶ。まき、みなに、向く。
まき「君、早く帰りなさい」
みな「あのう、私もついていっていいですか」
まき「なんで」
みな「ああ、一応発見したの私だし、責任あるっていうかあ・・・・・・、」
まき「発見ってまだ亡くなっていないよ。責任もないよ。でもついてきたいならいいよ」
みな「あ、ありがとうございます」
まき「家の人に連絡するから、えーとあなたは?」
みな「私、原宿みなと申します」
まき「原宿さんね」
みな「あのう。自分で連絡するんで」
まき「あ、個人情報とかあるし、その方がいいかもね」
みな、にっこり笑う。
みな「はい」
みな、カバンからスマホを取り出す。
みな「あ、お母さん」
みな、モノローグ「例えば、裸の男子は借金とりにみぐるみをはがされ、賞金1千万のクイズ番組に出るとか」
みな「あのさあ、えーと」
まき「学校で倒れてる人見つけたって」
みな「学校で倒れてる人見つけちゃってさあ」
みな、モノローグ「例えば、男子はやくざに追われてて、みぐるみはがされちゃったとか」
みな「で、今」
みな、まきを見る。
まき「生徒指導の吉田まきよ」
みな「生徒指導の先生の吉田先生が救急車呼んでてえ、なんか責任あっからさあ、一緒に病院ついてくことになったんだよねえ」
みなのスマホ「そう」
まき、みなに合図する。
みな「今、吉田先生に代わるから」
みな、モノローグ「例えば、裸の男子は記憶を喪失してて、運び屋をやらされることになるとか」
みな、まきにスマホを渡す。
まき「こんばんは。原宿さんのお母様ですね。初めまして。生徒指導の吉田まき、と申します。いえいえ。お子様と一緒に救急車で病院へ向かいます。向こうにつきましたら、またお電話いたしますので。ええ。では」
スマホ切れる。まき、みなにスマホを返す。まき、自分のスマホを出す。
まき「ああ、校長、あのうシャルルのやつが、3階1年2組で倒れてまして。ええ。ええ。では」
まき、またスマホをかける。
まき「ああ、近藤先生、あのですね、シャルルのやつが3階、1年2組で倒れてまして、いま救急車を呼んでいるのですよ。ええ。」
スマホ切れる。
みな、モノローグ「私はこのやくざ映画ばりのミステリアスな出会いにのってやろう、と思ったのだ」
机が並べられている。女子中高生たちが、勉強をしている。
原宿みな(15歳)、机の前に立っている。
茶色の髪。耳の上ツインテール、ラビットスタイル。痩せている。茶色の制服を着ている。胸にリボンタイ。ボレロとジャンパースカート。ローファーをはいている。靴下は黒のハイカット丈。腕時計をしている。
カバンを机に置き、中の教科書やノートを取り出している。カバンは合皮バッグ。バッグには落書きはされていない。リボンがついている。
みな、モノローグ「私の名前は原宿みな、15歳。花のJkでえす」
みな「あれ、ない」
みな、机にカバンの中のものを出す。
みな「ない」
みな、出したものをひとつづつチェックしてカバンに入れる。
みな「あああああああああああ。学校に忘れてきたんだあ」
みな、モノローグ「私はこの春、贈答学園高校に入った」
みな「仕方ないなあ」
みな、かばんを肩にかけ、学習室を退出。
〇公道
広い歩道。みな、歩いている。
みな、モノローグ「今は4月。少女漫画のようなドラマチックな出会いを期待する」
みな、歩いている。曲がり角がある。
みな、モノローグ「例えば、曲がり角で出合い頭にハンサムな男の人と出会うとか」
曲がり角を曲がるが、誰もいない。
みな「はあ(溜息)」
みな、歩いている。
〇公園の前の歩道
みな、歩いている。
みな、モノローグ「例えば、人気のない公園のベンチですごいイケメンが泣いているとか」
みな、公園を見る。誰もいない。ベンチのアップ。誰も座っていない。
みな「はあ(溜息)」
〇街中
みな、歩いている。
みな、モノローグ「例えば、イケメンが誰かに追われていて逃げてくるとか」
サングラスの中年男性が走ってくる。
みな「え」
サングラスの男性、みなを通り過ぎる。コックの男性が走ってくる。
みな「え」
コックの男性「今日こそ、つけ払ってもらうぞ」
コックの男性、みなを通り過ぎる。
みな、後ろを振り返る。
みな「はあ(溜息)」
みな、歩いている。前から荷物を片手に持ったハンサムな男性が歩いてくる。
みな、モノローグ「例えば、運び屋のお兄さんが、すれ違いざま荷物をうっかり落としてしまう。それを私が拾うとか」
みな、ハンサムな男性とすれ違う。男性、荷物をしっかり持っている。男性、行ってしまう。
みな「はあ(溜息)」
みな、歩いている。前から野良犬が歩いてくる。
みな、モノローグ「例えば、野良犬が、イケメンに擬人化するとか」
野良犬、みなとすれ違っていく。野良犬行く。
みな「はあ(溜息)」
みな、歩いている。建物や人々を通り過ぎる。何事もない平穏な街並み。
〇贈答学園高校正門前
贈答学園高等学校と彫られた門。みな、門を通っていく。
〇贈答学園高校・校庭
校庭には誰もいない。
校舎がある。
みな、校舎へ向かう。
みな(なんか気味悪いなあ)
〇贈答学園高校・校舎玄関
電気がついている。
がらん、としている。みな、下駄箱へ行き、スリッパを取りだし、靴を入れる。
みな、モノローグ「女の子は春になると、少女漫画のようなドラマチックな出会いを妄想する」
〇贈答学園高校・廊下
電気がついている。みな、歩いている。誰もいない。
〇贈答学園高校3階・教室
教室には誰もいない。ロッカーが並んでおり、ドア側に掃除具の長方形のロッカーがある。
黒板側のドアが開く。がらがら。
壁に電気のスイッチ。みなの手、スイッチを入れる。電気がつく。
みな「忘れ物。忘れ物」
みな、モノローグ「例えば、隣にハンサムな人が越してくる」
みな、自分の机に行く。
みな机の引き出しをまさぐる。教科書を取り出す。
みな「あった。あった」
みな、モノローグ「例えば学校を牛耳るイケメングループに目をつけられるとか」
みな、教科書を鞄の中に入れる。
掃除具のロッカーから息遣いがする。
みな「ん」
みな、モノローグ「例えば、見知らぬイケメンが現れて「やあ、〇〇」といきなり自分の名前を呼んでくる」
みな、後ろを振り返る。
掃除具のロッカー、アップ。
掃除具のロッカーから息遣い。
みな、ぞーっとする。
みな(え、何)
みな、モノローグ「例えば、病院へ行ったら、すごいかっこいい先生が出てきたとか」
掃除具のロッカーから息遣い。
みな(ちょ、ちょっと待てよ)
みな、そおっと掃除具のロッカーに近づく。
みな、モノローグ「女の子は素敵な出会いを求めている」
みな(何これ。学校の怪談!)
掃除具のロッカーから息遣い。
みな、意を決して、そおっとロッカーのドアを開ける。
裸の金髪の男が倒れてきた、シャルル・サガン(16歳)、傷だらけである。
みな「きゃー」
みな、後ろへ飛びのく。
床にサガン、横向きに裸で横たわっている。
みな「な、ななななな何これえええええ」
みな、サガンから離れる。みな、しゃがみこむ。
みな「え、何これ。不審者あ。男の不審者あ。け、警察、警察う」
みな、モノローグ「私の出会いは」
みな、モノローグ「いきなり、裸の男がロッカーから生まれたのだ」
みな「つ、通報しなきゃ、通報しなきゃ」
みな、モノローグ「なんてミステリアスな出会いなんだ」
みな「ああ、こいつ一体誰だあ」
みな、モノローグ「これって、少女漫画じゃなくて、まるでやくざ映画だあ」
「どうした」
吉田まき(25歳)が現れる。黒髪、上の方お団子。黒いスーツにタイトスカート、黒いヒールをはいている。眼鏡をかけている。切れ長な目、黒い瞳。鼻筋が通っている。真っ赤な口紅をしている。美人。痩せている。腰はくびれている。
みな「え」
みな「あ、あなたは」
まき「生徒指導の吉田」
みな「せ、先生、不審者、不審者、男の不審者!」
まき「わかった、わかった、落ち着いて」
まき、サガンに近づく。
まき「こりゃあ、2年生の留学生、シャルルだわ」
みな「シャルル?」
まき「ええ、フランス人よ」
みな「フ、フランス人!」
まき、サガンの顔を上向かせる。サガン、口を切っている。まき、サガンの首に手をあてる。
まき「大変、救急車」
まき、スマホを取り出す。まき、救急車を呼ぶ。まき、みなに、向く。
まき「君、早く帰りなさい」
みな「あのう、私もついていっていいですか」
まき「なんで」
みな「ああ、一応発見したの私だし、責任あるっていうかあ・・・・・・、」
まき「発見ってまだ亡くなっていないよ。責任もないよ。でもついてきたいならいいよ」
みな「あ、ありがとうございます」
まき「家の人に連絡するから、えーとあなたは?」
みな「私、原宿みなと申します」
まき「原宿さんね」
みな「あのう。自分で連絡するんで」
まき「あ、個人情報とかあるし、その方がいいかもね」
みな、にっこり笑う。
みな「はい」
みな、カバンからスマホを取り出す。
みな「あ、お母さん」
みな、モノローグ「例えば、裸の男子は借金とりにみぐるみをはがされ、賞金1千万のクイズ番組に出るとか」
みな「あのさあ、えーと」
まき「学校で倒れてる人見つけたって」
みな「学校で倒れてる人見つけちゃってさあ」
みな、モノローグ「例えば、男子はやくざに追われてて、みぐるみはがされちゃったとか」
みな「で、今」
みな、まきを見る。
まき「生徒指導の吉田まきよ」
みな「生徒指導の先生の吉田先生が救急車呼んでてえ、なんか責任あっからさあ、一緒に病院ついてくことになったんだよねえ」
みなのスマホ「そう」
まき、みなに合図する。
みな「今、吉田先生に代わるから」
みな、モノローグ「例えば、裸の男子は記憶を喪失してて、運び屋をやらされることになるとか」
みな、まきにスマホを渡す。
まき「こんばんは。原宿さんのお母様ですね。初めまして。生徒指導の吉田まき、と申します。いえいえ。お子様と一緒に救急車で病院へ向かいます。向こうにつきましたら、またお電話いたしますので。ええ。では」
スマホ切れる。まき、みなにスマホを返す。まき、自分のスマホを出す。
まき「ああ、校長、あのうシャルルのやつが、3階1年2組で倒れてまして。ええ。ええ。では」
まき、またスマホをかける。
まき「ああ、近藤先生、あのですね、シャルルのやつが3階、1年2組で倒れてまして、いま救急車を呼んでいるのですよ。ええ。」
スマホ切れる。
みな、モノローグ「私はこのやくざ映画ばりのミステリアスな出会いにのってやろう、と思ったのだ」



