「嬉しそうね」
「そりゃな。カナコにも言っとけよ。多分、感動すると思うぜ? 宏海だって分かるだろ?」
「分かるよ、分かるよ。あのブンタだもん」
「ホント。ブンタが自分から近寄るだけでも感動すんのに、他人に撫でられて尻尾振るなんて。本当に想像出来なかったもんなぁ」
「そうだねぇ」

 ブンタは、カナちゃんが仲介して彼が飼うことになった保護犬である。前の飼い主と色々あって、なかなか心を開かなかったという子。だからカナちゃんは、相当引き取り手に悩んだみたい。その結果、白羽の矢を立てたのがまぁくんだったわけだ。匡なら絶対に優しいし、目線を合わせてくれる。そう言った彼女は、自信あり気に微笑んでいた。

「ねぇ、まぁくん」
「あ?」
「まぁくんは、カナちゃんのこと好き?」

 少し浮かれていたから、今なら聞いてもいいような気がした。ずっと気になっていたことだ。心臓がバクバク音を立てる。自分で聞いたくせに、怖気づく。好きだと言われたら、どうしよう。あぁ……馬鹿だなぁ、ホント。