「千夏、お手伝い? 偉いねぇ」
「おぉ、宏海ちゃん。いらっしゃい。おじさん、一人じゃ接客不安でしょう? だからね、バイトしてあげてるの」
「千夏。そう言うなら、働け。皿下げて来い」
「はぁい」
幼い頃と同じように、千夏はブゥっと剥れた。彼女は、まぁくんの姪っ子。ややこしいけれど、二番目の兄の、上の娘だ。羽根で、昔からよく会っていたから、僕のことも慣れたもの。彼女たち姉妹は、叔父の友人というだけの僕を《《宏海ちゃん》》と呼ぶのだから。そんな彼女らは僕にしてみても、自分の甥姪と近いような可愛さがあった。
「あれ? まぁくん、何かあった? 機嫌いいでしょ」
「お、分かるか。そうなんだよ」
手際よく動きながら、まぁくんはが昨夜あったという出来事を話し始める。それは、とても嬉しそうに。
彼は、ブンタという愛犬がいる。夜、散歩に出たところで、同じマンションの女の子に出会ったのだという。普通に会釈してすれ違おうとしたが、珍しくブンタが彼女に吸い寄せられるように近づいてしまったらしい。それで少し話をしたという、そんな些細な出来事。聞けば、大したことのない話だけれど。ブンタにしても、まぁくんにしても、それは珍しいことだと思った。この顔を見るに、相当嬉しかったのだろう。感情が跳ねている様に見える。
「おぉ、宏海ちゃん。いらっしゃい。おじさん、一人じゃ接客不安でしょう? だからね、バイトしてあげてるの」
「千夏。そう言うなら、働け。皿下げて来い」
「はぁい」
幼い頃と同じように、千夏はブゥっと剥れた。彼女は、まぁくんの姪っ子。ややこしいけれど、二番目の兄の、上の娘だ。羽根で、昔からよく会っていたから、僕のことも慣れたもの。彼女たち姉妹は、叔父の友人というだけの僕を《《宏海ちゃん》》と呼ぶのだから。そんな彼女らは僕にしてみても、自分の甥姪と近いような可愛さがあった。
「あれ? まぁくん、何かあった? 機嫌いいでしょ」
「お、分かるか。そうなんだよ」
手際よく動きながら、まぁくんはが昨夜あったという出来事を話し始める。それは、とても嬉しそうに。
彼は、ブンタという愛犬がいる。夜、散歩に出たところで、同じマンションの女の子に出会ったのだという。普通に会釈してすれ違おうとしたが、珍しくブンタが彼女に吸い寄せられるように近づいてしまったらしい。それで少し話をしたという、そんな些細な出来事。聞けば、大したことのない話だけれど。ブンタにしても、まぁくんにしても、それは珍しいことだと思った。この顔を見るに、相当嬉しかったのだろう。感情が跳ねている様に見える。

