「さて、じゃあ僕は別の部屋が取ってあるので」
「え? なんで」
「だって、一応和洋室だけれども。今日は親子水入らずがいいでしょう?」
「いやいや、そういうの大丈夫なんで」
「そうよ、宏海」
「あのねぇ。これが最後かもしれないでしょう? 息子と一緒のお部屋で眠るのなんて。ならば、二人の方が絶対にいい」
最後? いや、まだ再会したばかりだ。否定をしようと思ったが、よく考えるとそのような気もしてくる。もし彼女が出来て、結婚したりしたら……母さんと同じ部屋で寝ることはないだろう。要らぬ気遣いだ、と思ったが、有り難い提案な気もしてくる。俺にはまだ、母さんに聞きたいことがあるんだ。
「ありがとう」
「え? カナタ」
「カナちゃん。息子がこう言うんだ。今日は、僕と別々でも眠れるでしょう?」
はぁ? とキレ気味の母を見ると、宏海さんは母の扱いが上手いなと思う。こうでも言わなければ、きっと母さんは受け入れないだろうから。
「あ、でも。朝ご飯の時間は合わせようね。一人じゃ淋しいから」
彼はそう言って、部屋を出ていった。パパのいない部屋で母と二人。二十年以上の時を経て、同じ部屋で並んで寝るなんて初めてだ。あれこれ考えたら、信じられないよな。でも、せっかくもらった機会だ。聞きたいことを、ちゃんと聞こう。
「え? なんで」
「だって、一応和洋室だけれども。今日は親子水入らずがいいでしょう?」
「いやいや、そういうの大丈夫なんで」
「そうよ、宏海」
「あのねぇ。これが最後かもしれないでしょう? 息子と一緒のお部屋で眠るのなんて。ならば、二人の方が絶対にいい」
最後? いや、まだ再会したばかりだ。否定をしようと思ったが、よく考えるとそのような気もしてくる。もし彼女が出来て、結婚したりしたら……母さんと同じ部屋で寝ることはないだろう。要らぬ気遣いだ、と思ったが、有り難い提案な気もしてくる。俺にはまだ、母さんに聞きたいことがあるんだ。
「ありがとう」
「え? カナタ」
「カナちゃん。息子がこう言うんだ。今日は、僕と別々でも眠れるでしょう?」
はぁ? とキレ気味の母を見ると、宏海さんは母の扱いが上手いなと思う。こうでも言わなければ、きっと母さんは受け入れないだろうから。
「あ、でも。朝ご飯の時間は合わせようね。一人じゃ淋しいから」
彼はそう言って、部屋を出ていった。パパのいない部屋で母と二人。二十年以上の時を経て、同じ部屋で並んで寝るなんて初めてだ。あれこれ考えたら、信じられないよな。でも、せっかくもらった機会だ。聞きたいことを、ちゃんと聞こう。

