だって、そう決めたのは私

「おい、宏海。何だよ、急に。居酒屋なんて。カナコはどうした」

 珍しく、幼馴染を呼び出した。カウンターでガクリと項垂れていたが、特にまぁくんは察してはくれないらしい。僕の肩をバシバシと音が出るように叩いた。

「痛いなぁ」

 何とか苦笑しながら振り絞る。それから、振られちゃった、と小さく吐き出した。とんでもなく、情けない声だ。店員に酒を頼んでいた彼が、何だって? と僕に問う。それはそれは、随分な時間差で。

「だから……振られたんだって」
「は? カナコに?」
「他に誰がいるのさ」
「いや、居ねぇだろうけど……どういうことだよ」
「どういうことも何も、ごめんなさい、って言われたの。はっきりと」

 ありのままを話して、勝手にむしゃくしゃして、それから無性に悲しくなった。まぁくんは携帯を弄ってから、隣でビールを飲み始める。掘り下げて聞こうとは思っていないようだ。それが良いのか、悪いのか。本心を言えば……ちょっとだけ悪い。

「返事はどうであれ、カナコはどうした」
「今日は、実家に帰った。この件があったからじゃなくて、元々そういう予定だったんだ」
「そうか、実家、か」

 何か含みのある言い方だった。さっき携帯を弄っていたのは、多分カナちゃんに連絡をしたのだろう。それできっと、電話に出なかったとか、既読にならなかったとか、そんなところだ。だから、実家にいるならば、という納得かな。まぁ仮に二人の連絡が取れたとて、僕の結果には変わりがない。ごめんなさい、と言われた。もう、それだけだ。