考えろ、考えろ。あの時、どうだった? ニヤニヤしてなかったか。カナタからのメッセージを見て、嬉しそうな顔でもしてなかったか。思い出せないが、自信はない。
「下手に言い訳考えても、カナコ芝居は下手だからな……」
「それはさ……否めないけど」
五十嵐くんとの飲み会のことを言っているのだろう。あれは……酷かった。確かに、酷かった。でも、今思い出させなくてもいいじゃない。ちょっとムスッとして、話題から逃げるように携帯を手に取った。
「ん、あれ」
「どした」
「いや、カナタ」
「お、何だって?」
メガネをカチャッと合わせて見た携帯電話。ツルツルした画面を操作して、表示させたメッセージ。そこに書かれていた言葉。私の目の前が、僅かに歪んだ。
『母さん。おじいちゃんとおばあちゃんに、会えるかな』
いつもならば家に帰ったであろう、もっと遅い時間に連絡が来る。それなのに今日は、夕方に届いていた。この中途半端な時間がまた、胸に来る。きっと移動だとか、仕事の一息だとか、そういう合間なのだろう。一人になる前に、迷いが出る前に、母にそう告げてしまおう。そんな彼の心を感じた。
「下手に言い訳考えても、カナコ芝居は下手だからな……」
「それはさ……否めないけど」
五十嵐くんとの飲み会のことを言っているのだろう。あれは……酷かった。確かに、酷かった。でも、今思い出させなくてもいいじゃない。ちょっとムスッとして、話題から逃げるように携帯を手に取った。
「ん、あれ」
「どした」
「いや、カナタ」
「お、何だって?」
メガネをカチャッと合わせて見た携帯電話。ツルツルした画面を操作して、表示させたメッセージ。そこに書かれていた言葉。私の目の前が、僅かに歪んだ。
『母さん。おじいちゃんとおばあちゃんに、会えるかな』
いつもならば家に帰ったであろう、もっと遅い時間に連絡が来る。それなのに今日は、夕方に届いていた。この中途半端な時間がまた、胸に来る。きっと移動だとか、仕事の一息だとか、そういう合間なのだろう。一人になる前に、迷いが出る前に、母にそう告げてしまおう。そんな彼の心を感じた。

