頭を急速にフル回転させる。真実は言えないけれど、まずは誤解を解かないといけない。今、俺に何が出来る?

「ご、ご両親……とかにってことじゃないですかね」
「え?」
「あ、えっと。もしかすると、クリスマスプレゼントじゃないけれど、ご両親に作ってあげたくなったのかなって……」

 自信はない。母と祖父母との関係を、全く知らないから。だけれども、これが今考えつく精一杯だった。

「両親?」
「えぇ。そういう考えもあるかなぁ……って」

 恐る恐る、彼を見る。正解は、息子に作るから、なのだけれど。今彼に言ってあげられる最も近い答えが、これしかなかった。

「そうか、親。あぁそれは考えなかった。男の人しか考えなかったから……そうか、そうか。この間、まぁくんのお母さんが怪我してね。カナちゃんと話したんだ。自分たちの両親の老い先を考えると、今何をしてあげられるだろうねって。あぁ……それでか」
「です……かね?」

 まぁくん、というのが誰かは分からないけれど。自分を納得させるように、ウンウン頷きながら話している中川さんを見ると、きっと母さんも知っているような人なのだろう。一先ず彼の顔が明るくなったから、良かったとしようか。彼女の両親、つまりは俺の祖父母だ。彼らに玉子焼きを……あ。

「すみません。一件、連絡入れてもいいですか」

 彼に断って、携帯を手にする。それから母さんへメッセージを打ち込んだ。ちょっと怖い気持ちもある。でも、いつかは、と思っていることだ。だから……きっとこれが、一番いい方法な気がしてきた。