「今日はホントごめんね」

 夕飯を食べ始めてすぐ、おずおずとそう彼女にそう言った。今のところは、怒っていないように見える。昼間だって嫌な顔をしなかったのだから、本当は気にしなくてもいいのだろうけれど。僕は今、彼女にプロポーズをしようとしている。しかも、勝算はほぼない。だから、少しでも嫌われたくないんだ。あぁこんな女々しい感情。本当に嫌になる。

「「謝らないでいいのに。私も気になってたから、ありがとうね。骨折ならすぐ帰って来るだろうし、家族が落ち着いた頃に行ってみようか」
「そうだね」
「あ、でも。宏海は今、忙しいんだっけ」
「あぁ……そうなんだよな。発送とか色々あって」
「うんうん。じゃあ、明後日にでも、私が顔出してくるよ。宏海も心配してたよって言っておくから」
「うん、分かった。ありがとう」

 一緒に行きたかったけれど、確かに仕事がカツカツだったりする。クリスマス用品は落ち着いたけれど、次のバレンタインや春物の準備もあるのだ。それに何より、腕時計が終盤を迎えている。時間をかければいいってもんじゃないけれど、雑に終わらせたくはない。それが終わってしまえば、この生活に区切りがつくのだろう。終わるのか。続くのか。それは神のみぞ知るわけであるが。