「何でもいいだろ?」
「あぁ、うん。何でもいいよ。ごめんね」
「おぉ、ちょっと待ってろ」
これを、と注文をしなくとも、匡は何かを作り始める。それが私たちの間では常だ。いつもと変わらぬ友人にホッとして、私は携帯を立ち上げた。見るのはまず、カナタのSNSだ。
「今日は……なんだろう。指輪とかかな」
写っているのは、アンティークっぽい丸い何か。今日はどんな仕事だったのだろう。『大切なもの』と添えられている。いいね、を押して一息。それからまた、その写真を眺めた。
このSNSがカナタのものだと確認をしたのは、先日のこと。アイコンと名前で確信はあったが、一応聞いてみたのだ。母親にSNSを覗かれているのって、嫌なんじゃないか。そう、ふと気付いたからだった。私には、親子の関係というのはまだ難しく、試行錯誤である。カナタに確認をした時、嫌がらなかったのは正直ホッとした。気付いていないと思った、と澄ましたカナタ。その横顔には、幼い頃の可愛い面影があった。
「ほれ。オムライスな。もう店閉めるぞ」
「はぁい。いただきまぁす」
「まったく。うちは、お前の家の冷蔵庫じゃねぇんだよ」
「やだ、匡。分かってるわよ。冷蔵庫と電子レンジだって」
「てめぇ……」
「ふふ、感謝してるよ。いつもありがとうございます」
「ホントだよ、お前たちは」
呆れる匡。確かに、宏海も世話になっているだろうなと思った。何でも匡に話をしに来そうだ。ただの同居人の私にすら、宏海は色んな話をしてくれる。だからきっと匡とだったら、もっと色んな話題が出るだろう。そう思うと、何かやっぱり……ちょっとだけムカつく。
「あぁ、うん。何でもいいよ。ごめんね」
「おぉ、ちょっと待ってろ」
これを、と注文をしなくとも、匡は何かを作り始める。それが私たちの間では常だ。いつもと変わらぬ友人にホッとして、私は携帯を立ち上げた。見るのはまず、カナタのSNSだ。
「今日は……なんだろう。指輪とかかな」
写っているのは、アンティークっぽい丸い何か。今日はどんな仕事だったのだろう。『大切なもの』と添えられている。いいね、を押して一息。それからまた、その写真を眺めた。
このSNSがカナタのものだと確認をしたのは、先日のこと。アイコンと名前で確信はあったが、一応聞いてみたのだ。母親にSNSを覗かれているのって、嫌なんじゃないか。そう、ふと気付いたからだった。私には、親子の関係というのはまだ難しく、試行錯誤である。カナタに確認をした時、嫌がらなかったのは正直ホッとした。気付いていないと思った、と澄ましたカナタ。その横顔には、幼い頃の可愛い面影があった。
「ほれ。オムライスな。もう店閉めるぞ」
「はぁい。いただきまぁす」
「まったく。うちは、お前の家の冷蔵庫じゃねぇんだよ」
「やだ、匡。分かってるわよ。冷蔵庫と電子レンジだって」
「てめぇ……」
「ふふ、感謝してるよ。いつもありがとうございます」
「ホントだよ、お前たちは」
呆れる匡。確かに、宏海も世話になっているだろうなと思った。何でも匡に話をしに来そうだ。ただの同居人の私にすら、宏海は色んな話をしてくれる。だからきっと匡とだったら、もっと色んな話題が出るだろう。そう思うと、何かやっぱり……ちょっとだけムカつく。

