「カナちゃん、最近機嫌良いね」
「え? そう?」
「うん。機嫌良いなぁって。何かあったのかなって思ってた」
「特別には何もないけど……ここのところ、長期治療の子が良くなったりしたからかなぁ」
「そうなんだ。それは良かったね」
「うん。支える飼い主さんも大変だからね。ホント良かったよ」
微笑んで、何とか誤魔化した。暁子に言われて、こういう時の言い訳を考えていて良かった。友に今、心の底から感謝している。まだカナタのことは知られたくない。今少しずつ、彼の欠けていた部分を補っていて、急かしたくないのだ。私は嘘が上手じゃない。だからどうか、これ以上は触れてこないで。そう祈った。
ポケットの中を気にしながら、食事を終えて、片付けをして。宏海の隙を見て、チラリと確認したメッセージ。
『母さんと中川さんって、どういう関係なの? 夫婦、でいいの』
そう並んだ文字に、ピリリと緊張が走った。どう説明したら、分かってもらえるか。母のこの不誠実な生活の始まりを。この説明に戸惑いがあるから、何となく触れずに、避けていた。けれど、あの子が聞きたくなったのなら、説明をした方がいいだろう。仕事のこともあろうし、彼の心のタイミングもある。母として誠実に。それだけを心に決め、私は深く息を吸った。
「え? そう?」
「うん。機嫌良いなぁって。何かあったのかなって思ってた」
「特別には何もないけど……ここのところ、長期治療の子が良くなったりしたからかなぁ」
「そうなんだ。それは良かったね」
「うん。支える飼い主さんも大変だからね。ホント良かったよ」
微笑んで、何とか誤魔化した。暁子に言われて、こういう時の言い訳を考えていて良かった。友に今、心の底から感謝している。まだカナタのことは知られたくない。今少しずつ、彼の欠けていた部分を補っていて、急かしたくないのだ。私は嘘が上手じゃない。だからどうか、これ以上は触れてこないで。そう祈った。
ポケットの中を気にしながら、食事を終えて、片付けをして。宏海の隙を見て、チラリと確認したメッセージ。
『母さんと中川さんって、どういう関係なの? 夫婦、でいいの』
そう並んだ文字に、ピリリと緊張が走った。どう説明したら、分かってもらえるか。母のこの不誠実な生活の始まりを。この説明に戸惑いがあるから、何となく触れずに、避けていた。けれど、あの子が聞きたくなったのなら、説明をした方がいいだろう。仕事のこともあろうし、彼の心のタイミングもある。母として誠実に。それだけを心に決め、私は深く息を吸った。

