「じゃあ、また来ますね」
「はぁい。ありがとうね。カナコにも、たまには来なさいって言っておいて」
「分かりました。では」
顔が強張っていないだろうか。お義母さんが戸を閉め終えるまでは、なんとか笑顔を維持しておきたい。パタンと音がするまで手を振って、ガチャリと鍵のかかる音を確認する。ようやく、フゥと大きく息を吐き出した。
朝から考え事をしていた。それは、あの写真のこと。昨日カナちゃんに聞こうとしたけど、出来なかった。簡単に触れていいのか、分からなかったからだ。見間違えかもしれない。それも拭えなくて今日、義実家に来たわけである。混ぜご飯の素作りすぎちゃったからお裾分けに、とそれらしい言い訳を作って。
僕に話せないことがあるのは当然だ。だって、僕らは本当の夫婦じゃない。それでも、知りたかった。いつか彼女が立ち止まった時に、寄り添えるように。いや、それは詭弁か。野次馬みたいなものと変わらない。ただ、知りたかっただけだ。純粋に、カナちゃんのことを。
「はぁい。ありがとうね。カナコにも、たまには来なさいって言っておいて」
「分かりました。では」
顔が強張っていないだろうか。お義母さんが戸を閉め終えるまでは、なんとか笑顔を維持しておきたい。パタンと音がするまで手を振って、ガチャリと鍵のかかる音を確認する。ようやく、フゥと大きく息を吐き出した。
朝から考え事をしていた。それは、あの写真のこと。昨日カナちゃんに聞こうとしたけど、出来なかった。簡単に触れていいのか、分からなかったからだ。見間違えかもしれない。それも拭えなくて今日、義実家に来たわけである。混ぜご飯の素作りすぎちゃったからお裾分けに、とそれらしい言い訳を作って。
僕に話せないことがあるのは当然だ。だって、僕らは本当の夫婦じゃない。それでも、知りたかった。いつか彼女が立ち止まった時に、寄り添えるように。いや、それは詭弁か。野次馬みたいなものと変わらない。ただ、知りたかっただけだ。純粋に、カナちゃんのことを。

